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代々木上原のモスク「東京ジャーミー」に行ってきた

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代々木上原にあるイスラーム教のモスク「東京ジャーミー」に初めて行った。

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東京ジャーミー・トルコ文化センター

小田急線の車内から、ホームから、見える高い塔。モスクがそこにあるのは随分前から知っていたけど、いつか行きたいな~って思っててやっと足を踏み入れた。……めっちゃ、楽しかった!!行けてよかった!!また行きたい。
※建物内の写真も入れてたのですが「撮影はOKでもWebに載せるのはNG」ですよと教えていただいたので外しました、すみません……。調べたらきれいな写真、たくさん出ます。


ニュースで聞くいろいろに辟易して、動画はもちろん画像でも見るのが辛くて、でも目をそらすのもなぁと思って、違う方向からそういうことについて歩み寄りたいって気持ちで思い出したのが電車から何度も見ているミナレットだった。東京ジャーミー、調べてみたら毎週土曜と日曜の14時半から、予約不要で無料で見学会をしてることがわかった。Webサイトに服装規定とかちゃんと書いてある。1人でいってもいいものなんだろうか。どきどき。

服装について
礼拝場は、イスラーム教徒が礼拝を行なう神聖な場所です。女性の場合は、ストールかスカーフをご持参いただき、長袖・長ズボン、ロングスカート(足首まで隠れるもの)など身体の露出の少ない服装でお越し下さいませ。女性のショートパンツ、キャミソール、タンクトップ、レギンス等での入場はご遠慮下さい。男性もハーフパンツやタンクトップはご遠慮下さい。階下のホールでは、女性のスカーフは不要ですが同様の服装を心がけてください。


5分前くらいについたら数十人いて、結構多くて驚いた。いつもこんなものなのでしょうか。「いつか」行きたいな~、の「いつか」は今だろうと、わたしのように思った人がたくさんいたのかもしれない。自分の親くらいの世代の夫婦、レポートの種として見に来たような大学生、これから出かけるんだろうなって感じの若い女性、子ども連れも。近くにいた小さな男の子がアラビア語を学んでいるようで、目につくもので分かるものを読んでいて格好よかった。「お母さん、これは数字の4だよ!」

東京ジャーミーの歴史自体は古くて、1938年から。ロシア革命(!)の影響で中央アジア地帯から東へ東へ、海を超えて日本まで、やってきたトルコ系の人々によってはじまったんだって。ま、まさかロシア革命なんて言葉を聞くなんて思わなかった……。こんな感じで歴史とか風俗習慣についていろいろ説明してくれる。

今の建物は2000年に建てられたもので、16世紀のオスマン・トルコの伝統的な建築形態を再現したものなんだそうです。高いミナレットと、美しい礼拝堂がある。本国から100人以上の職人を呼び寄せて、「水とコンクリート以外のほとんどすべて」を現地から取り寄せて、数年がかりで建築したんだって。大理石の床、彫刻された木の細工、鮮やかな色のタイル、全部本物だ。全部とってもきれい。おみやげも売ってる。

1階にはホールがあって、この日は子どもたちが何かを教わってた。壁にあるアラビア語のカリグラフィーのアートがなぞりたくなるくらい素敵。初夏のラマダン(断食)の時期はここで毎日、日没の時間からトルコからやってきたシェフによる本場のトルコ料理が振る舞われるそうで、イスラーム教徒じゃなくてもウェルカムらしい。行くしか……!


30分くらい見て回ったところで、2階の礼拝堂へ行く。

大学の卒業旅行でシスティーナ礼拝堂に行った時に「あ、これは世が世なら入信するわ」って1秒でくらっときたことを思い出す。今よりもっと色や光が少ない時代にこんなにキラキラしたものを見たらどんな気持ちになるだろう。「神々しい」って言葉の意味はこういうことなのか、ってなった。神様の世界はどんな場所でしょうか。(中高はプロテスタントの学校に通っていたけど、カトリックとはこう違うんだなっていうのもそのとき思った)。

……それと同じようなことをこの日も感じた。ニュアンスの違ういろいろな青、大理石の白、優しい金色、いっぱいある。息を詰めて見る。ステンドグラスがきれいだ。チューリップやバラの装飾がかわいい。アラビア文字が踊る。この日は曇りだったけど明るく陽光がさすとまた雰囲気が違いそうだ。

少しずつ人が集まってきて礼拝が始まる。女性は2階のバルコニーのようなところ。とはいえ別に1階に女の人が入れないわけではなくて、現にわたしたち見学の人たちはみんな1階の後方に座る。子どもがいっぱいいるのがかわいい。前半はみなさん礼拝堂の好きな場所で自由にお祈りする。子ども、普通に遊んでる。同じくらいの歳の子とじゃれたり寝っ転がってくすぐりあったり、走り回ったりしてる。別に静かにしなくてもいいのか~~。この空間にいるってことが大事みたいだ。

そのあと、メッカの方向に向かって1列に並ぶ。さっきまでわらわらしてた子どもちゃんたちもパパの横に並んで、まねっこする。くねくねしたり隣の子の肩をつっついたりしながら、ひざを折って床に額をついて、口の中で言葉を復唱する。

なんかよくわからないけど泣けてきてしまった。。なんだろう、当たり前のようにちゃんと毎日が続いていることに? 宗教って日本だと馴染みがないけど、思想や信念以前に日常や生活に普通にあるものなんだよな~。「1日に5回、礼拝するのは大変じゃないですかってよく聞かれますけど、みなさんごはん1日3回食べたりおやつ食べたりするのに苦労してる感じします? 精神的な食事のような感覚、お腹じゃなくて心を満たすもの」って言ってた。

あと、クルアーンは音楽的なものって話もおもしろかった。礼拝でも朗々と読み上げる。アラビア語で理解するのに意味があるっていうのは排他的な意味ではなくて、音で聞くものなんだって。聖書は(わたしが知ってる限りは)そういう感じはあまりないけどどうなんだろう。お経はそうかもしれないね。


イスラームは誤解されてるところも多くて、という話にも当然なって、今ニュースを騒がせていることの話にもなって、いろいろそういうリアルな視点が聞けたのも興味深かった。過激派組織がやってることは許されることではなくてイスラーム教がテロを認めてるわけでは当然まったくなくて、でも前提として偶像として“描く”ことに対する感覚は全然違うわけで、とか。

普段考えないことをいろいろ考えたし、何より荘厳で美しくて背筋が伸びる場所で、元気でた。無料でこんなにいろいろ見せていただけてありがたい。肌の露出を抑えるし女性はスカーフが必須だし、普段からマフラーしている冬場は見学しやすいかも。


オスマン帝国 イスラム世界の「柔らかい専制」 (講談社現代新書)

オスマン帝国 イスラム世界の「柔らかい専制」 (講談社現代新書)

わたしがイスラームに興味を持ったかなり大きなきっかけがこれ。すっごく好き。
多民族国家を束ねる合理的で先進的な知恵がオスマン帝国にはあって読んでて気持ちがいい。

イスラーム国の衝撃 (文春新書)

イスラーム国の衝撃 (文春新書)

あと最近話題になったこの本も、Kindleになったから読んだけど「そうだったのか!」ばかりで超興味深かった。脈々と、アフガニスタンタリバーンがどうつながっているか、何が違うのか、そういうところを知るだけで全然違う。

東京ジャーミー・トルコ文化センター


とてもざっくりした感想だけど、やっぱり宗教的な場所に行くの好きだな。いろんなものにちゃんと理由があって別に知らなくてもいいんだけど知ってると世界の見方が少しだけ変わる……可能性がある。

普段見てるものだともしかしてアイドル現場ってある意味自分にとっては“宗教的な場所”に近いかもしれないな? ってぼんやり思いながら小田急線のホームに戻った。キラキラしてて、外から見たら理解できないこともきっとあって、それでもわたしたちは1つの方角を見つめて愛と祈りを注ぐ。あなたに幸福がありますように。


スピッツ「横浜サンセット2013 劇場版」、夢みたいだった

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人生で一番天国に近かったライブが、2時間半の映画として閉じ込められてた。
スピッツ「横浜サンセット2013」。

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スピッツ 横浜サンセット 2013 -劇場版- | SPITZ OFFICIAL WEB SITE

2013年9月に、横浜赤レンガ倉庫であった野外ライブがDVD/Blu-rayではなくなぜか劇場版になった。終わった瞬間、早く円盤になってくれ…今の夢みたいな時間を目の前でもう1回巻き戻したい…と思って倒れそうだったのに、そのまま音沙汰なくてあきらめてたけど、まさか1年半も経って映画館で見ることになるなんて思わなかった。

内容はスーパーシンプルに、ライブの最初から最後まで、MC含めノーカット。バックステージやメイキングのようなドキュメンタリー要素も全然なし。拍手の音で始まって、照明が落ちて終わる。目の前でライブがそのまま繰り広げられる。横浜の海を一望できる場所が、昼から夕方に、そして夜に少しずつ色を変えていくのが全部見える。あ、そうだった。こういう1日だった。この日は。


スピッツ、みんな名前は知ってるだろうし、知ってる曲もいくつかあるだろうし、カラオケで歌ったり聞いたり、人によっては学校で歌った経験もあるだろうけど、演奏しているところそういえばちゃんと見たことないなって人、少なくないと思う。それはテレビにほとんど出ないというのが大きいのですが。ライブは少なくない回数やってますが、ドームのようなものすごく大きなところでやるわけでもないし、ファンです!という気合い入った人以外の人が足を運ぶ機会ってそりゃ少ないよなって思う。興味はあるよ~という人が出会う機会あるとしたらフェスくらいでしょうか。

スピッツのライブ、超かっこいいのだ。CDを軽々超えてくる。楽器の生音ってこんなにパワーがあるんだなって思う。音楽に関して素人だからむずかしいことはよくわからないけど、それでもなんだか正しく音を浴びてる気がして、いつだってとても楽しい。幸せになる。イヤホンからカーステレオから有線放送から流れるいつもの曲と情報量が全然違う。

だからめっちゃ見てほしい。
おっきいスクリーンで映画館のいい音で、夏の終わりの横浜にトリップしてほしい。

……まぁ正直ね、ものすごく淡々とライブしてる映像が続くからそんなに起伏あるわけじゃない。例えばわたしは前日あんまり寝てない日に行ったのと、最初の数十分でドキドキしすぎて心臓が疲れて途中眠くなった(正直)。あとやっぱり映画館で座ってるから声出したり踊ったり手をあげたりできないのはもどかしい。「めっちゃ好きな曲きたあああああ」って気持ち押し殺すしかない。でもぼんやり聞いてたりまどろんでる時間すら気持ちよすぎた。だってずっと音が鳴ってるし目をあけたら色が変わってるし、閉じ込められた時間全部が夢みたいだよ。


草野マサムネさんは、びっくりするくらいずっと青年のおもかげがあって、本当にすごい人だ。

空も飛べるはず」「チェリー」「ロビンソン」、世に広く知られてるのって、少し前の曲だと思うけど、もう50歳が見えてきたおじさんたちの作る曲、ずっとかっこいい。最近のライブだと「さらさら」にいつも胸が詰まってしまう。この日のセットリスト、オリジナルアルバム14枚を網羅してたんだけど、別に意図したものじゃなかったらしい。


スピッツ / さらさら - YouTube

もう何百回と聞いてるはずなのに毎回ライブの度に泣きそうになるのは「運命の人」。これはほんと……生で聞く説得力がすごい。励まされすぎてる。バスの揺れ方で人生の意味がわかるし、愛はコンビニで買えるし、神様は自力で見つけるのだ。


スピッツ / 運命の人 - YouTube

あとこのライブで最高だったのは「渚」。曲の終わりに延々と続くドラムがあまりに波の音だった。何度も重なる。今ここで聞くのがなんて似合ってるんだろうって鳥肌が立った。


スピッツ / 渚 - YouTube

それからやっぱり、「夏が終わる」。この年の夏は本当に本当に暑かったんだった。当日は台風が近づいていて、この週末を超えたら急に涼しくなるのかもなって思ってたんだ。
「暑すぎた夏が終わる、音もたてずに」。


見ながらこの1年半のことがフラッシュバックしてきて頭がぐらぐらした。2013年は人生でいちばん幸福な1年だったんだけど、そこから月日が経っても思ったよりずっとハッピーだ。ずっとハッピーなんだよね。幸せは途切れながらも続くもんね。


スピッツ / スピカ - YouTube


観に行くまではなんだかんだ円盤になるのかなって思ってたけどそんなことないみたいだ。パンフレットを読む限り、モノとして残したくない理由があって、だからこういう形でもう一度見せているように思える。くそう、辛い時に何回だってこの日を反芻したいのに。許されない。

でも幻みたいに残響みたいに、美化された思い出として甘く頭に残り続けるならそれもいいかもしれないね。


スピッツ 横浜サンセット 2013 -劇場版- | SPITZ OFFICIAL WEB SITE
新宿と梅田、週末を待たずに終わる予定だったのに追加上映が決まったから、まだ土日で見られるよ…! そのあと、5月までかけて全国いろんなところをまわる。

ああ、やっぱりスピッツ大好きだな。ずっと特別だ。
ライブが終わるといつも、次またこの光を浴びるまでちゃんと生きなくちゃ、って、背筋が伸びる。

アラサーの教養としてスピリチュアルデビューしてきた

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アラサーの嗜みといえばスピリチュアルなんですよ。
いつからかわかりませんが、そういうことになってるんです。

……というわけで、オーラ・リーディングにいってきた。オーラ! その甘美な(そしてうさんくさい)響き!


大好きなおねえさんが「オーラを読んでもらった」って言っててそれだけでめちゃくちゃ気になっていたのですが、よく聞いたら前世は男色の浮世絵師だとか中国の女帝だとかぶっ飛んだことを言い出すものだからあまりにおもしろすぎて、いつかわたしも人生経験として(訳:酒の肴にすべく)行かなきゃ!と、ずっと思ってた。とはいえ、結構なお値段するのと、何よりやはりスピリチュアルな霊言を敬虔に拝聴するイタさ(ってあえて言うけど)に微妙な抵抗があって教えてもらったサロンのWebサイトをブックマークに登録するだけで止まってた。

そこから数ヶ月のあいだに、まぁいろんなことがあったのだ。予期せず。オンでもオフでも。いろんな意味で人生に迷いすぎてお先真っ暗な上に仕事が大変に忙しい時期が重なって、呼吸も眠りも浅すぎる時期を乗り越え、ようやく人間らしい感情を取り戻して一段落したところで思い立ったのであった。「今だ、たぶん今こそオーラ読んでもらうべき」。


オーラ・リーディングとはなんぞやというと、人間を取り巻くエネルギーの色や様子を読んでもらう行為です。いろいろ突っ込みたいところはあるでしょうがこれ以上の説明はいたしません。今回おうかがいしたた先生(って言い方で正しいのだろうか)の流派では、人間のオーラには7層あってそれぞれ最大3色で構成されてる、とされている。占いではなく思考・感情分析、行動特性の要素の洗い出しみたいな感じで、未来を予知とかはしてくれない。あと基本的によい面を見たアプローチ。脅すようなことは言わない。行く前はどんな顔してればいいのかめちゃくちゃ不安、というかこんな歪んだスタンスで足を踏み入れていいのかと思ってたんだけど、めっちゃ、楽しかったです。90分楽しみまくった。


正直言って自分が言われた内容を書いたところで他人にはまったくおもしろくないわけだけど雰囲気が伝わるように少しだけ書いておく。こう書くとすごい適当っぽいけど実際にはもう少し、なんというか、それっぽかった。友人各位はもっと聞きたかったら直接聞いてください。

  • 現世で一番強く出ている過去線は「日夜歌い続ける原始時代の沖縄の巫女」
  • 「人間の要望を神様に伝える役目だったんですが、どんどん要求が大きくなっていくわがままな調整に四苦八苦してて、そのうち神の怒りをかって島ごと沈没しました」「(何その全然神々しくない中間管理職……)」
  • 「何代か神職で転生したものの、日常に起伏がなくてつまらないので俗世に降りてきたみたいです」
  • 自発的な欲望や情熱がうすくて、外からの刺激で動いてるので、好きなものをどんどん増やしていかないと精神が死にます
  • 感受性的な意味でPA機能が発達してるのでいろんな創作物や表現を一気に浴びてもわりと処理できる
  • 唾液の分泌が少ないのでよく噛んで食べましょう(いきなり具体的になってびっくりした笑)
  • 「正直別に悩みとかないし結構幸せなんですよね~」「そんな感じですね~」(はい)


「まぁあの頃巫女だったから仕方ないな~」ってたいていのシーンで使えそうだし(?)今後の人生に便利でよさそう。巫女、キャッチーですごい気に入った。現世では死ぬほどミーハーに生きてるので「日常に起伏がない」と仰せの過去の魂を供養できるようますます頑張っていきたい。あと「よく噛んで」は本当にそうなので、医学的にもそう言われているので、笑ってしまった。オーラでこんな具体的な身体面まで言ってくると思わないでしょ。それから、関係を読んでほしい個人名を出すと2者関係を見てくれるらしくて、同じセッションを体験済みの友人知人はその「なるほど」感がおもしろかったと言っていた。わたしはそんなことできるなんて知らなくてお願いしなかったのですが。時間は結構たっぷりあるのでその時の悩みや聞きたいことに応じていろいろその場で質問できる。

聞いたこと全部メモったらA4の紙何枚にもなるくらいになってすごいおもしろかった。自分が普段ぐるぐると答えなく考えている自分のことを他人がガリガリ言葉にしてくれるの気持ちがよい。それが例え詭弁だとしても。

……そう、ここがポイントで、占いも含めて、結局それが真実かどうか根拠があるかどうかって実は関係なくて、言語化されて何かがスッキリした感覚を得るのが大事なんだな!って思った。言葉では納得できるけど、行って聞いて初めてわかった。友達に愚痴ったら返ってくる言葉とかじゃなくて、もっと漠然と、自分の今までの人生でまったく接点のない人から投げられる言葉だからおもしろいんだな。


わたしは意地悪な人間なので、申し込む時のメールアドレスは普段使ってないやつにしたし(検索してもSNSとかと結び付けられないように)いろいろ言われてる間もあえて自分がこれかな?って思う方向とあえて違う方にハッタリかましてみたりしたけど、それでもわりと「わたしにはわかる」表現でいろいろ言ってくれるので、おお~、ってなった。だから全部信じる!とかじゃないんだけど……。とはいえ、よく考えるとある程度はうがった姿勢ではいるけど、わりとピュアに信じてる部分もあるかもしれない。人間の科学でこの世のすべてが解明されてるってことはないだろうし、自分には感知できない視野や周波数のようなものもあってもおかしくないのでは?って思ってるところはある。


しかし、自分について自分で深めてくことになるから、結構質問力が問われてスリリングだった。アイドルの握手会では好きな女の子について知りたいこと聞きたいこと喜んでほしいことを一生懸命考えるけど、自分に対して真正面から考えたり言葉にすることとか別に正直ない。漠然と考えてたとしても、その自己分析を他人にぶつけることは全然ない。なので、そういうチャンスとしてもなかなか勉強になった。時間もったいないし何かぼんやりしたことでもいいから糸口を……と思ってぺらぺらしゃべりだしたら、あ、確かにそういう時いつも微妙に引っかかってるわ、って話しながら気付いたりする。思考のプロセスとしてはブログ書くのに似てるな~ってちょっと思った。ブログも、書きながら「そんなこと考えてたのか」って自分でなる。

あと、最終的に印象に残るのは自分で納得できる部分なので(そりゃそうだ)自分を語るあるいは理解する言葉のパズルのピースが手に入ってよい。なるほど~そう表現したらいいのか!ってなる。結局どう言われようと自分の解釈なので。外からのある意味無責任な言葉と、自分の中にある感覚と、バランスをとって消化できる精神状態であれば結構楽しいイベントだと思う。


というわけでアラサーの教養、楽しかったです。でもスピリチュアル、ハマると危険そうだというのもなんとなく身体でわかった。外から言葉にされていく気持ちよさ、求めすぎると怖いな。思考力が弱っていくというか「そういうことか」で終わらせてしまえる展開も容易に想像つく。

……そう思うと、Twitterで「よくぞ代弁してくれた!」を束ねてRTやふぁぼで義憤を晴らしたり正義をふりかざしたりするのも構造的にはスピリチュアル的な気がしてきた。程よく取り込むと自分の考えも深まって気持ちよいけど、ずぶずぶと共感できるもの(あるいは真逆に、糾弾できるもの)を探すのにハマっていくと徐々に盲目になっているように見えるし、自覚はなくても周りから見ているとこわい。誰かが先回りして言葉にしてくれるといい意味でも悪い意味でも乗っかりやすい。

Amazonポイント50%還元(実質半額)なので最近Kindleで買った本

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Amazonポイント50%還元セール中なので逃すわけにはいかないと走った結果&最近Kindleで買った本を貼りつけます。
Amazon.co.jp: Kindle本 ポイント還元セール: Kindleストア

書籍

武道館 (文春e-book)

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なぜ日本は〈メディアミックスする国〉なのか (角川EPUB選書)

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美貌格差―生まれつき不平等の経済学

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まんが

東京タラレバ娘(2)

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応天の門 1巻

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こいいじ(1)

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かごめかごめ

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どぶがわ (A.L.C. DX)

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コンプレックス・エイジ(4)

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トクサツガガガ(1) (ビッグコミックス)

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もっと買ってるかと思ってたら案外……?もうKindleがあるかないかが読む優先順位に直結してるなって思う。

最近は映画やドラマや戯曲の脚本の体系的な作り方に興味があっていろいろ読んでて、それは図書館で借りたり古本買ったりが多い。

聖地巡礼ってこういうことだったのか(鳥取・岩美町「Free!」の聖地に初めて行った)

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鳥取岩美町に行ってきた。アニメ「Free!」の聖地巡礼。初めて行った、やっと行けた、超~~~楽しかった!!!

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初めて来た場所なのにそんな気がしない、って一緒にいる子と何度も笑った。「知ってる……」「ここ知ってるね……」を何回も繰り返した。全然知らない縁もゆかりもない場所なのにここで起きた(ということになっている)何かを知ってるし覚えてるしなつかしいし、不思議な感じだった。2013年に1期の放送があって今、だから実質3年越しの遠距離恋愛の成就ですよね。

これは恋ですか?そうです、これは恋です。

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観光協会が5月に始めたばかりのバスツアーで回ったんだけど、ものすごく良心的で恐縮してしまうくらいだった。朝10時に鳥取駅に集合して、鳥取砂丘に行って、浦富海岸で遊覧船に乗って、おまけでイカスミソフトを食べて笑、作品に出てくる場所を1つずつまわってくれる。歩ける。写真撮れる。ガイドさんに解説まで聞ける。これで夕方までまるっと過ごして3000円……! す、すごすぎる。なんかすみません。
Articles|岩美町観光協会|鳥取県|Rock Beauty|山陰海岸ジオパーク

岩美、ずっと行きたかったんだけどなかなか行けなくて、それは距離的にそれなりにあるのもそうなんだけど、やっぱり人が住んでいる場所だから“聖地”が点在してて、土地勘もないし、山と海に挟まれた起伏ある集落だし、当然交通手段も限られてるし、個人で行っても回るのがそこそこ大変そうだな~と思ってたから。だからこういうツアーありがたすぎる。会話をちらちらと漏れ聞いたり、ガイドさんや記者さん(日本海新聞の記者のおじさまが一緒に参加していた)(優しい)に聞いてた限り、私たちと同じような理由で初めて来たっていう人がそれなりにいたと思う。

Free!聖地巡礼は大いなる先人のみなさんによるすごーく細かい情報がネットにたくさんあるのでここからは雰囲気だけ。


というわけで鳥取駅から朝は始まる。行ったよ、「すなば珈琲」!!!噂の激混みスタバも見学した。混んでた。朝から。
バスに乗って出発する。かわいい。昔使われていたボンネットバスなんだって。

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鳥取砂丘も思い入れがありすぎる。前日にハチクロを読んで予習した。野宮匠…………。


靴脱いで歩いたよ、砂丘。暑かったです、足の裏が。
ちっちゃい男の子がきっと幼稚園で使っているのであろう砂場セットを持ち込んで、せっせと遊んでいてすごくよかった。こんなに広い砂場すごいね~楽しいね~!わたしも無駄に触ったりすくったり蹴り飛ばしたり風に散らしたりする。海が見える。

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遊覧船も楽しかった。日本海は太平洋と全然違う色をしている。緑も青も深い。

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岩美町へ移動する。劇中で出てくる「隣駅」を通ったりする。怜ちゃんが走るところ。
岩美駅。わ~~そのままだ。

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田後地区へ。
主人公の住んでいる地域はこのあたりで、位置関係はともかく、1つずつの建物や施設や景色はかなり正確に元ネタがある。なんだか新しい感覚だった。どこを見ても「えっ……ここはどこ?」って気持ちになる。次元の壁がゆるゆると溶ける。

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七瀬遙さんと橘真琴さんの家の場所を見て胸が詰まってしまった。本物だ。いや本物なんだけど。そもそも何が本物なのか。こんな普通の場所に(ってあえて言うけど)こんな気持ちを抱かせる、京アニ様のロケハン力。。

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七瀬遙さんと松岡凛さんがすれ違う踏切がよすぎた。現実感がすごい。いやフィクション感がすごい?なんて言えばいいのかわからない!!!


聖地巡礼という言葉は知っていてもそんなようなことをするの初めてで、来る前ちょっとドキドキしてた。なるべくひっそりとしていようというか、正直迷惑じゃないのかな~とうっすら不安があった。だってどこも住宅街で、生身の人がちゃんと生きてる。フィクションの世界を持ち込まれて勝手においしくいただかれてもどうなのかしら……とちょっと思ってた。土足で踏み込んでいるような。

岩美町としてはその点めちゃくちゃオープンなスタンスで、町内どこでもコスプレOKだし(ごく普通に歩いてるし写真を撮っている)(高校生のコスプレでスーパーでお酒を買ってるおねえさんとか笑)至るところで関連商品を売ってるし、ここでしか買えないポストカードやグッズもある。でもそれは観光施策としての話で、人はどう思ってるのかな、という意味。

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港から少し上に上がったところにある遙さんの家の裏(と、便宜上言う)から、また海に向かって降りていく時、近くの家のおばあちゃんが家の前で海藻を干していた。目が合って会釈して「邪魔じゃないですか?すみません~」って言ったら「大丈夫よ、今日は人が多いのねぇ。暑いから気をつけてね」って返された。「これ何してるんですか?」「今ね、日が出てきたからわかめを干してるの」。……うわー、こ、これは。アニメの外側で彼らがこういう会話しているリアリティがすごい。これは生きてる。七瀬遙も橘真琴も生きてる気がしてきた。

岩美は入り組んだ海岸線がとてもきれいで、このあたり一帯が国立公園なので、バスツアーのガイドさんと別に、景色がよい展望台などでは地元のボランティアの観光ガイドさんがいる。一般の観光客には植生や土地の成り立ちや景観について話すのだと思うけど、Free!で来ている女性が多いことは当然みなさん知ってる。

自分の祖父のような年齢のおっちゃんが「春はあの島のてっぺんに菜の花が咲くんよ、ほら、真琴ここから電話してたろ?きっと花咲く季節はこっから見て、きれいだなーって思っとるわ」って、まるで近所の子のことを話すようにナチュラルに言うから、無駄に感動してしまった。おっちゃんはアニメ自体はちゃんと見てないけどどんな景色が出てくるかは知ってる、みんな話すと喜んでくれるからうれしい、あっちには凛がお墓参りに行く道があるから行ってきな、って笑った。はーい、って返して、なんだかこの返事、田舎に来たみたいだなと思った。

海の目の前の民宿に泊まって、オーナーのおじさんや遊びに来てた漁師のお兄さんたちと話した。お店の人とか遊覧船の係の人にもちまちま聞いた。「まぁよくわからないけどいいんじゃない?迷惑じゃないし、楽しそうだし」「女の子ならみんな歓迎だわ!あはは」「ずっと気になってたんだけどああいうの地毛なの?東京の子はすごいなぁ」(コスプレの話)(違います)


なんだろう、うまく言えないけど、媚びてるというよりうまく利用しているようですごくよかった。現実は強固だ。フィクションに負けない。生きてる生きてる。いろんな人が生きてる。

好きになってもらうきっかけがなんであれ、実際に足を運ぶまでの引力を持つって確かにすごいことだなって思った。毎日のように新しい人がこの場所に出会う。知らないのに知ってる。来てるみんながみんな同じ感情をどこかで共有してる。喋らなくても同志感がある。むしろこんなに甘えてしまってよいのか……?と別の意味で不安になってくる。この人たちには圧倒的に日常なのに、それはわかってるのに、私たちには非日常でフィクションでファンタジーで夢みたいな場所だ、いやいやいや東京に帰ったら社会復帰するんだぞ!!!

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2日目は1つ向こうの駅のロケハン場所に行こうかと思ってたんだけど宿を出るのが遅くなったのと、帰りの時間が早めだったのでいろいろギリギリになりそうであきらめた。だらだらと劇中で七瀬くんと橘くんが歩いて高校に向かっていた道(高校があるという設定の場所もあるので、通学ルートが分かる)を歩いて駅に向かった。道端で草を刈っていたおじいちゃんに声をかけられて、二言三言話して、あっちの方行こうかと思ったけどやめたんです~って言ったら、「ちょっと待ってな」と言われた。まず干したわかめをおやつにくれた(そのままかじる)。車を指して乗りな、って言った。ドラクエみたいだ。おもしろすぎる。

窓を全開にして細すぎる海沿いの山道を走って超楽しかった。こんな道、絶対自分たちじゃ来ない。駅の写真が撮りたいって言ったら止まってくれた。実はこのへんがアニメのモデルになっててね、ファンだから来たんですよ、って言ったら全然興味なさそうだった。笑 チャキチャキとしてよく喋る運転もかっこいいイカしたおじいちゃんは、元々遠い場所で警察官をしていて、仕事で訳あって肩を壊して(!)(つい反応してしまったよね)、いろいろあって今ここにいるんだって言った。そうだそうだ、いろいろある。兵庫県との県境まで車で走って、そういえば鳥取と兵庫って隣り合ってるんだ…ってことに驚いた。驚いてたら、東京のもんは~、って怒られた。覚えたよ。もう忘れないね。


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辻村深月の「ハケンアニメ!」って小説がある。今見たらKindleになっている。遅すぎる!SHIROBAKO放送時に電子化していれば!!

ハケンアニメ!

ハケンアニメ!

タイトル「覇権アニメ」(派遣じゃない)の通り、監督、プロデューサー、アニメーター、そんないろんなアニメの制作側の群像劇。登場人物にもわりとわかりやすくモデルがいて、ユリ熊嵐とか血界戦線とか見てた人はきっとにやっとできるところが……ってまぁこのへんはいいか。この中で「聖地巡礼」のファン側のスタンスではなくて、仕掛ける側、自治体側を描くのにかなりの紙幅が割かれていて、わたしはそのパートがめちゃくちゃ好きだ。

聖地だからって何もせずに来てくれるわけじゃないし、準備するならするで“空気を読んだ”ものにしなくてはいけなくて、地元の人の思惑だっていろいろある。理解せずに過剰にサービスするだけだと、サービスされてる側の人間はその匂いをかぎとって眉をひそめる。それなのにオタクは移り気だ、「ブーム」であれば去ってしまう。

今回行ってみてわかったのは、そっか、その土地自体が好きになるんだな、ってことだ。岩美町自体に過剰に親近感がわく。もちろん普段旅行に行っても、行く前に比べたら格段に気持ちは近くなるけど、作品ていう下敷きがあるからその思い入れがさらに強くなる。なるほど、聖地巡礼ってこういうことだったのか。もう少し深くまで、違う角度まで、新しい要素まで、「好き」の矛先が伸びるのか。


冬になったら松葉ガニがあるよ、食べにおいで、って言われたから、また行きたい。そんな単純な理由で行きたくなるのでめでたい。人生楽しいことまだまだいっぱいある。


「ハケンアニメ!」のなかから、伝説の若き天才監督・王子千晴の吐く言葉。

「暗くも、不幸せでもなく、まして現実逃避するでもなく。――現実を生き抜く力の一部として俺のアニメを観ることを選んでくれる人たちがいるなら、俺はその子たちのことが自分の兄弟みたいに愛しい」

「恋人がいなくても、現実がつらくても、心のなかに大事に思ってるものがあれば、それがアニメでも、アイドルでも、溺れそうな時にしがみつけるものを持つ人は幸せなはずだ」



なつかしのWeb拍手を設置した

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魔が差してWeb拍手を設置しました。
右のサイドバー(PCだけ)と最近のエントリの記事下に入れた。これです。この無骨な容姿。

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まずWeb拍手のサービスを申し込むところでWeb1.0感がありすぎて目がギラギラしたし、お礼画面のテンプレート選ぶのもスーパー楽しすぎたし、これだけでこんなに楽しめるなんてちょっとおめでたい人間すぎる。
「そんなとき、『web拍手』ならクリックするだけでその気持ちを伝えることができるのです!」うんうん。

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web拍手公式サイト

コメントもらえるだけでハッピーですごい。秘密のメッセージっぽい。ラブレターもらえて幸せになる。あとみなさんいい感じに顔文字とか使ってくれて謎の一体感がある。こ、これが承認欲求…!?!?

わざわざブログにコメントするほどでもないし、Twitterでリプライ飛ばすほどでもないし、もちろんメールアドレスに送るほどでもないけどちょっと何かしら言いたいことってあるから、結構おもしろいかもしれない。いや、すぐ飽きそうな気もするけど……笑 でもしばらくは逐一見ておきます。なぜかテンションが上がる。

iPhoneからWeb拍手押すの、すごい興奮する。我々はあの頃の未来に生きているのだ……。

10回連続で拍手したのにお礼絵もないんですか!? って怒られたので(なつかしすぎ)まだちょっと遊びたいな……。取り急ぎ、3回連続で叩くとそれぞれ違うテンプレートが出るようにした。どれも素晴らしいね。。あるある、わかるわかる、わかるよ……。

まだask.fmで消耗してるの?Web拍手の時代を取り戻そう!!って気持ちになってくる。わたしも無駄に拍手したい!!タグをコピペするだけなんてホームページ制作初心者でもカンタンだね!

インターネットすきだな~~ずっとすきだ~~!インターネットがある時代に生まれてよかった。

「ワンピース歌舞伎」がバカバカしくて派手で大真面目でとんでもなく楽しかった話

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スーパー歌舞伎Ⅱ ワンピース」に行ってきた。……期待の100倍よかった。本当に楽しかった!!!

全3幕、4時間半っていう長さなんだけど(歌舞伎だからね)全然飽きなくてずっと心のなかで「うわ~~!!!すげ~~!!!」ってなってた。感動したからちゃんと書き残しておく。

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最初に発表された時に行くしかない……と思ったのは、歌舞伎っていう表現スタイルにどう寄せてくるのか興味があったのもそうなんだけど、もう存分にネタです。ワンピースが歌舞伎になるよ~って言われてもどうなるのか想像つかないから見たい。もし全然ピンとこなくてもそれはそれで酒の肴になるじゃんね。

なのでそういうある意味邪な気持ちだったわけですが、でもその邪さを完璧に受け入れて、その上でもっともっと高いところを鮮やかに見せてくれるめちゃくちゃ楽しい時間だった。主演の市川猿之助さんが記者会見で「歌舞伎はそもそもバカバカしいのが売り、バカバカしい仕掛けで楽しんでもらいたい」って言ってたけどもう本当にその通りすぎだ。マジかよ!?って演出がいっぱいある。ルフィの手が伸びる演出とかまさにそのものだと思うけど……笑

mantan-web.jp
(写真がいっぱいある)


とにかくショーとしてとても楽しい。

客席の上を飛ぶ“斜め宙乗り”(ジャニーズ的に言うとフライングですね)あり、突然滝があらわれて水に濡れながらの“本水の立廻り”(ジャニヲタ各位にもおなじみの滝での殺陣)あり、なんだかよく分からないけど無鉄砲なまでのハッピーさで客席に降りていく演出(宝塚に近づけると階段降り~銀橋渡り的な高揚感)ありで楽しいものてんこ盛りすぎる。歌舞伎めっちゃ懐広い、と思った。難しくて退屈なものじゃ全然なかった。

私は歌舞伎見るの3回目で、過去は解説か予習がなかったら多分筋書きもよくわからなかったなと思うから、まずセリフを聞いててわかるかも不安だったけど、全然問題なかった。ほとんど現代劇。でも、語尾やお決まりの言い回しは歌舞伎っぽさがちゃんとあるのでその雰囲気を感じられて気持ちよさはちゃんとある。拍子木のチョンチョンした音、見得の瞬間のパキッとした音が聞けるのも、うわ~!って単純にテンションあがる。見得、ほんとかっこいい…キメるポーズがちゃんと歌舞伎!!

原作は、読んでいった方がわかりやすくはあると思う、ってくらい。サイトに「頂上戦争編」(51~60巻)てわざわざ明記してあってすごい親切…笑 いやいやさすがに10巻分は大変でしょと思ってたけど、シャボンディ諸島、女ヶ島アマゾン・リリー、インペルダウン、ニューカマーランド、海軍本部……って意外に端折らなくてびっくりした。尺自体が長いのもそうなんだけど、1人が何役も演じることが魅力になるんだな~なるほど~!って思った。衣装もキャラクターも性別も違う人に切り替わる振り幅。



市川猿之助さんはルフィとボア・ハンコック(!)とシャンクスをやるんだけど、正直えっ?どゆこと?て思ってたけど、全部かっこいいのだ。女方かっこいいよ~~~!!ルフィとハンコック、ちゃんと同じ舞台上に並ぶし、会話する。……としか言えない。早替えすごい。歌舞伎独特のギミックの視覚的な気持ちよさ!!その一瞬で、所作や色気が変わるのもぞくぞくする。

坂東巳之助さんのロロノア・ゾロは、刀を操って見得してキメるだけでかっっっこよすぎて泣いたくらいかっこいいんだけど、同じ人が2幕ではボン・クレーをやるわけで、こっちは動きも声も全然違ってすごくキャラが立っててやりきってて見てて超気持ちがいい。ボン・クレーってそもそも見た目が歌舞伎向きすぎるな…って思って楽しい。そんなこと思ったこともなかった。

中村隼人さんのサンジは写真を見てもらえればひと目で分かるので野暮な説明はしませんね。美しい。スーツの上に裾まで引きずるような長羽織なんだけど、光沢ある布地の半身が黒いファー、袖口から覗く裏地は金、表には銀の刺繍で立ってるだけでかっこよすぎてヤバかった、羽織をひらめかせながら長い足を蹴りだしてタバコをもった手と背中を美しく曲げる。ひゃ~~。この人も93年生まれだものな……華の93年組。

エースは物語の都合上、終盤まで出番があんまりないのですが、待ったかいがある素晴らしい見せ場の連続でたまらなかった。好きになるでしょこんなの。福士誠治さん完全にメラメラの実の能力者だった。あの大事なセリフもあって、知ってるのに胸が詰まる。見せ方でいうと、歌舞伎的な殺陣をするルフィの横でエースはガチのアクションする対比作ってきてるのがおもしろかった。客演俳優として、なんだけど、ルフィとエースのスタイルの違いにちゃんと見える。

原作と全然違うビジュアルで、すっごくいい、と思ったのは白ひげ。きっちりした和服で固めて、ものすごく歌舞伎的な造形にしてきてるんだけど、白ひげすぎる。で、市川右近さん自身がとてもとても迫力があって圧倒される。白ひげだ……。筋書き(パンフレット)で「今年で市川右近になって四十年」「これから先は、師匠から教えていただいたことを次の世代に伝えていく使命がある、そういう意味でも劇中の白ひげと重なる」って言っててしびれた……。この白ひげが見せてもらえただけで満足感ありまくる。

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(外もワンピース仕様です)


そもそもワンピースって、物語の構造としては海賊がヤクザになり変わった任侠ものだから、アウトローな人間を描く歌舞伎って世界観に似合うんだな~ってしみじみ思った。漫画の中で書かれるエモくて長文のセリフが、口上として音になるから舞台の上で浮かない。

尾田栄一郎さんから寄せられた言葉にも、歌舞伎は格式高い伝統芸能というイメージがあるけれど「大衆に向けられ、世に反する『かぶき者』達を描くことに端を発した総合芸術」「実は僕の目には、歌舞伎役者の方々が海賊に見えてしかたないのです」という一節があるし、坂東巳之助さんは「子どもの頃から原作読んでて絶対誰かが歌舞伎でやるだろうと思ってた」って言ってるし、思ったより当事者としては近しいのかもしれない。その感覚を、見ているうちに客席も少しずつ共有していく感じがした。


かなり分厚い筋書き、本当に内容が充実してて、これを読めて理解できるだけでもうれしい。静的なものを舞台の上でどう解釈するかのプロセスに興味がある。「正気なの?」(原文ママ)ってところから制作陣もはじまっているこの舞台を作る中で何を考えていたのか読むと、歌舞伎っていうノウハウの凄みを感じる。コンテンツに負けないし、コンテンツを歪めない。

たとえば、麦わらの一味の登場シーンは歌舞伎の『白波五人男』の勢揃いなんですよ。やっぱり歌舞伎の人間でなきゃできないものが散りばめられている。歌舞伎を知っている人が見れば「ああ、なるほど。こうやって歌舞伎よりに持ってきたんだな」と思ってもらえるんじゃないでしょうか(市川猿弥)

歌舞伎十八番の『暫』や『毛抜』のように「すごい」「かっこいい」と理屈抜きに楽しんでいただければいいんじゃないでしょうか。漫画は現代日本で生み出されたエンターテインメント。歌舞伎から磨かれていった感覚が漫画になりアニメになった。今回は、それをもう一度歌舞伎に戻す作業だと思ってワクワクしています(坂東巳之助


女方についてもおもしろかった。
そもそも、男性だけが舞台に立つ歌舞伎の文脈で女だけの島「アマゾン・リリー」を選んでることもおもしろかった。

はっきり言って“オジサン”が(笑)漫画のなかの女性を演じるわけですからね。(中略)決してコスプレショーにしてはいけないとも思うので、顔も体型も原作に寄せることはできないけれども、原作とは違うけれども、やはりナミだな、サンダーソニアだなというものが、どこか臭ってくるようにしなければいけない。そこは、女方の色々な技術を駆使して、乗り切っていくしかないだろうと思っています(市川春猿

歌舞伎の女方には、本物の女性に近づくのではなく、別の方法で女性らしさを出すというひとつの理念がある。リアルではなく嘘のほうに持っていくこと(中略)その理念に則った方法で、『ワンピース』のキャラクターも演じることができるのではないかと思うんですね(市川笑三郎


よく漫画原作ものに言われる「原作に忠実」って言葉についてもいろいろ考えた。
ピンクの着物で前帯のナミは艶やかで、甲冑に身を包んだ白ひげはあまりに白ひげだけど、原作に忠実かって言われると別に違う。でもとてもいい。当たり前だけど、どれだけ造形を近づけるかじゃないんだよなって思った。じゃあその言葉の本質はなんなんだろうなー。リスペクトがあるかないか、と言えば簡単なのだけど。きちんと咀嚼して、こちら側の文法できちんと再構築する努力が伝わってきたのが、ずっとドキドキしてた理由かもしれない。新しい物を見ている。

しかも現代語で上演する。だからこそ歌舞伎とは何なのかが問われると思うのです。歌舞伎俳優は歌舞伎俳優として存在を自問自答する。でも、それはあくまでも俳優側の思いであって、見てくださる方は理屈抜きで楽しんでいただきたい(市川猿之助

おそらく歌舞伎というのは、四百年前からこうやって、その時代その時代の“今”を作品にしていくという取り組みをしてきたのだと思います(市川弘太郎

ちびっこ連れた家族連れ、一緒に来た友達とコレクション缶バッジ交換する男子グループ、おそらく普段から歌舞伎を見ておられるのであろうおじいちゃまおばあちゃまのご夫婦まで、客席にはいろんな人がいて、いろんなところでいろんな会話が生まれてて幸せになった。「初めて歌舞伎見に来たけどこんななんだね」とか「わたしは漫画を存じあげないのだけどお好きな方から見たらいかがなの」とか「他の演目でもあんなふうに水を使うんですか?」とか。楽しい。新しいものに触れるのは楽しいね。

「歌舞伎らしさ」ってなんなんだろうな~。思い描いてた歌舞伎!な部分と、こんなことやっちゃうんだ?っていう部分のバランスがよくて、違う演目も見たくなったし、歌舞伎っていうジャンル自体への興味も強まった。たくさんの歴史がつながって今に至ってて、今も新しくなってるのすごい。もっと知りたい。


新橋演舞場で11月25日まで、まだ平日はチケット買えるみたい。
16時半開演なので多くの勤め人は定時後じゃ間に合わなさそうですが、でも絶対すごいもん見たなって思えるよ……!

www.onepiece-kabuki.com


追記

市川猿三郎さんのブログの演出解説がとてもよいです。blogs.yahoo.co.jp

ここに「値段」と 「登場人物の変化」によって 時間の経過が歌舞伎的に
短縮表現されているのです。

ですから、60万ベリー ○百万べりー ○千万ベリー 1億ベリーという 
本来はこの流れがあるのだと ご解釈下さいませ。

短縮されている中にも その間の経過を ご覧のお客様に 想像頂くというのは
歌舞伎では使われる手法なのです

さらに ルフィーが登場してから麦わら一味の各自の名乗りは 
ご存じ『白浪五人男』の「つらね」であります。

途中のナミの名乗りの肌脱ぎは、もろ弁天小僧菊之助の応用、
チョッパーで人形からの変化の登場あたりは これまたご存じ『義経千本桜』の応用ですね(笑)

もっと恋愛漫画を読みたい(2015)

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あいかわらず、数ヶ月に1回「恋愛漫画読みたい!!!」という発作に襲われる。
もっといろんなグラデーションの人間関係が見たい。もっといろんな感情にぞわぞわしたい。好き!!!ってハートを撃ち抜かれてうわ~~~そりゃないよって叫んで絶対その男だけは駄目だ!!ってハラハラしたい。友達にすすめられてBLや百合も読むけれど、そちらのジャンルのほうがよりきっちりソムリエがいるように思うので、実は案外あんまり教えてもらう、すすめてもらうチャンスのない男女の恋愛物はちゃんと開拓していくぞ、という意欲を持続するために書いておきます。

というわけで去年に続き。
mogmog.hateblo.jp

今年はかなり本を読んでいたので相対的に漫画は少なかった気もするけどとりあえず1年の振り返りということで……。
去年書いたのからかぶってるのはなし。今年発売、じゃなくて今年私が読んだやつ!です!なので完結しているのもあります。書誌情報はなるべくKindleを貼りました。「A子さんの恋人」だけ単行本。


 

  • からっぽダンス

からっぽダンス(1) (FEEL COMICS swing)

からっぽダンス(1) (FEEL COMICS swing)

今年の1位、超超大好き、いろんな人に読んで読んでと言って回った。阿弥陀しずくさんの絵がとっても好きです!!久我さんかっこいい!!!
年下の男性アイドルに夢中の主人公・翠と、彼女に一目惚れするストーカー(?)警官・久我さんのラブコメ。東京ドームにコンサートに連れてかれたり謎のミュージカルに一緒に行くことになる久我さんがとてもかわいい。うちわや双眼鏡に初めて遭遇する。「アイドルのミュージカルは耐性ない人にはすすめられないの…」「1回見なきゃ耐性もできんでしょ」って会話、あまりに最高じゃないですか?(言ってしまうよね)

わけもわからずドームコンサートに参戦したあとに、はっ…強引に誘って勝手に1人で楽しんですみません…て空気になる中で(←おたくあるある)彼女に久我さんが返す一言がとてもいいから、好きな女の子がそういうジャンルだと思われる人は然るべき日に使うべき口説き文句としてストックしたらいいと思う。

アイドルとそのおたくを描いたものなんてこの世にはもういくつもいくつもあるわけだけど、ドルヲタであることに対して選民思想も自虐感もなくて1つの趣味嗜好としてニュートラルなところがこの漫画すごく好き。もうおたくであることって全然特別じゃないし、おたくだって自称して声高らかに宣言するの格好よくないよな~。まぁこうやってわたしも「主人公はドルヲタ」って書いてしまうわけだけど、別にそれはアイデンティティなわけじゃなくて、という意味です。そこのニュアンスの描き方が好き。

2巻では一般人である久我さんのファンを自称し出待ち・追っかけ差し入れなどを行っている千代ちゃんという女の子が出てきてさらに最高です。続きがすごい楽しみ~~!

  • A子さんの恋人

すごくいい。似たような経験があるわけではないけど温度感や距離感やもっと言葉で言えない何かがすごくリアル。
3年間のNY留学帰りのアラサー女と、日本に置いてけぼりにしてた人たらしの愛想のいい男と、NYで置き去りにされたけど余裕しゃくしゃくな男のうすーい三角関係と、取り巻く女友達。恋愛漫画だけど恋愛だけじゃなくていい感じでゲスでにやにやする。「無責任シティロマンス」ってキャッチが超超好き。

クズな男性が出てくる漫画は恋愛漫画でもたくさんあるけどうっすらクズな、いやクズとも言えない程度のやんわりとした情けなさを主人公のA子ちゃんが持ってるのがいい。そしてするすると人の懐に入り込むA太郎がすごい。すごいです。こいつ……。「生まれたときから悪い」。

─A君だけが悪くないということは、A太郎は悪いんですか?

悪いと思います。生まれたときから悪い。女の子をとっかえひっかえしていること自体はそんなに悪くないと思うんですが。
近藤聡乃「A子さんの恋人」1巻発売記念インタビュー (1/10) - コミックナタリー Power Push

このコマが最高に好き(彼女は主人公じゃないのだけど)

近藤聡乃さんは「ニューヨークで考え中」というエッセイ漫画も描いていてこれも普通に普通の毎日をセンスよく切り取ってるので読んでて気持ちがいい。この短い人生でこの少ない経験の中で、これまで降り立った場所でNYが2番目にすき。また行きたい。1番は、トーキョーです。

ニューヨークで考え中

ニューヨークで考え中

 

  • モアザンワーズ

ちょ~~~すき!!1回読んで、え、すき……と思ってすぐに2回くらい読み返した。

幼なじみの男女の親友とバイト先で出会った年上の男性、女1人と男2人の三角関係。……なんかどこまでネタバレになるんだろう?Amazonの書誌情報をちゃんと読むとある意味ネタバレです。わたしは完全にジャケ買いだったので全然知らなくて「えっそういう展開!?」ってなりました。びっくりしたい人は何も見ずに買ってください。

関西弁の軽快な会話、言葉の使い方もテンポも最高に気持ちよくてしびれる。センスがいい。そして女の子が超かわいい。女の子を愛せるかって本当に重要だ。そして妹尾くんがズルい。

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作者の絵津鼓さんは普段BLを描いている人で、この作品もその中の1つのスピンオフ……と読んでから知ったので、すぐに買おうとしたら既読の人に「いや買っちゃダメ!待ってて!!この先を知らないまま読めるのが羨ましい!」と言われたので読んでいません。うずうず。バーズは月刊だから単行本のインターバル長いんだよ~~!早く続き読みたいよ~~!

  • 星上くんはどうかしている

「響け!ユーフォニアム」にダダハマりして、その熱をキャラデザのアサダニッキさんの漫画を読むことに向けたのであった。「青春しょんぼりクラブ」も好きなんだけどこっちも楽しみすぎる。

見た目は似てるけど性格は正反対の双子の男の子、が少女漫画で登場したらそのあと一体何が起こるかなんて、これまでの人生でわかりきっているんですよね。わかってるのよ。でもやっぱり定番がすきだよ!幼少期にフレッドとジョージ(ハリー・ポッター)に恋に落ちた時から双子にときめき続けることはもう決まってしまってるわけ。双子の魂百まで。

アサダさんの絵ってすごく動きがあるわけじゃないんだけど間合いの取り方とか動かし方に不思議なリズムがあって何冊かいっぺんに読んだ方が体が慣れる感じがする(なんの話だろう)。

ストーリーについて理性で判断できないくらい、若き偏屈な時代小説家・木曳野暁先生のビジュアルがドンピシャに大好きです。ありがたく敗北しました。
やまもり三香さんは「ひるなかの流星」もそうだけどとにかくファッションや髪形のセンスがよくて、今回も主人公ちゃんのヘアアレンジがいつもいつもかわいい。そしてこの人が描く長髪男性が嫌いなわけないじゃないですか…!!!ページをめくるたびに、うっ、ってなる。男の人が髪を結ぶのめちゃくちゃ好き。もうほんと2巻のラストの殺傷力が凄まじいので、このビジュアルに少しでも何かを感じる人は絶対に2巻まで読んでほしい。表紙からして好きなんですよそりゃあね……。

椿町ロンリープラネット 2 (マーガレットコミックス)

椿町ロンリープラネット 2 (マーガレットコミックス)

カラーイラストがほしい…色付きで暁先生を見たい…そのためにマーガレット本誌を折々で買っていかなくては、という気持ちにさせてくれる。色の使い方がかわいくて品があってすごくすきだ~やまもりせんせ~!

 

  • 恋と嘘

恋と嘘(1) (マンガボックスコミックス)

恋と嘘(1) (マンガボックスコミックス)

こういう漫画。友人と狭い飲み屋でお酒を飲みながら上記のようなことをぐだぐだ言っていたら「そういやそういう設定の漫画あるよ」と教えてもらって単行本になる前にアプリで読み始めたのだった。

ラッキースケベ的なアレも含めてまぁいろいろ突っ込みたいところはあるんだけど、命題に興味があるから今のところおもしろく読んでいる。個人的には恋愛感情や人間同士の相性はなんらかのアルゴリズムで数値化できるはずでしょうと思っているし、もっと技術進化してほしい(テクノロジー過激派)。

単行本3巻まで時点だと、設定の引きでひっぱれるパートはそろそろ終わりな感じするから、これからどうなるか楽しみだな~。


  • さよならガールフレンド

さよならガールフレンド (FEEL COMICS swing)

さよならガールフレンド (FEEL COMICS swing)

恋愛というより、腐った毎日を踏んづけて前を見て歩く女の子たちの話の短編集。正しく「ガールフレンド」と「さよなら」する話。温度で言うと山内マリコさんの小説。「ここは退屈迎えに来て」。黙々と1人ずつ平均台を渡るような毎日はダウナーでさみしい、人生はそうそううまくいかないけど悔しがってもかなしくなってもさみしがっていても人生は前には進まないのだ。

「今は愛よりファミチキがほしいかなー」「気が合いますね」
「あのとき世界よ滅びろと強く願ったけれど世界は滅びずわたしたちは28歳になった」

  • 彼女のいる彼氏

rola.tokyo

最初から読むにはこっちの方が読みやすい。
彼女のいる彼氏 | くらげバンチ


Web業界のキラキラお仕事漫画。生々しい。仕事がんばろう、と思う。
チャラチャラしてて女にやさしい徳永と、才能があるけど愛想がなくて見た目からしてスーパーサブカル男子な佐倉と、どっちもファンタジーなのに「ある…」って感じでおもしろい。わたしはですね、今のところルミちゃん派です。佐倉も徳永もどっちも許さないぞ!!!

いつもまつげがきちんとあがってて爪先が染まってて冬でもピンヒールとフレアスカートのキラキラ女子のみなさんが本当に好きで、だってかわいく美しくあろうとすることは媚びとかモテとか以前に、何かもっと個人的なプライドとの戦いなんだよね。だからそうやってきちんと自尊心を保っているやり方を持っている人は強いなぁと思うのです。それをやってないやつは女としてダメだってわけじゃなくて、自分で自分の中の何かと戦う術をちゃんと持っていることに意味がある。生存戦略はいろいろあっていいのだ。なので咲ちゃん(主人公)は咲ちゃんなりの戦術を開発するしかないよな。恋愛に対してだけじゃなくて。

この2カ月くらいでどんどんおもしろくなってるから続きが楽しみ。矢島光ちゃんは個人的に友だちなので応援してるのは当然なのですが、贔屓目を抜きにしてももっといろんなひとに読んでほしいよ!と思う。
働く“キラキラ女子”はかっこいい――Web業界のお仕事事情を描く“ITきゅんきゅん系”漫画「彼女のいる彼氏」 (1/4) - ITmedia ニュース



ここからは完結済みのやつ。

  • 夏の前日

5巻完結。すすめられて一気に読んだ。すごい。むせそう。ここには恋しかない。恋は生きる目的にも死ぬ理由にもなる。

とにかく超湿っぽくて情念が濃い……。年上の和服美人と才能はあるけど愛想と夢のない美大生がずるずると関係を編んでいく話。甘い時間が重なれば重なるほど、結局楽しいのか幸せなのか苦しいのかしんどいのか希望なのか絶望なのかよくわからなくなってくる(多分、全部)。

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2巻の表紙の匂い立つエロさよ。

幸福の絶頂でもこの関係にいつか終わりがあることが漂っているこの感じは一体なんなのだろう。人間は矛盾でできているんだなって話。冷静に感情的で、クレバーに馬鹿で、わかっていてわからないふりをして、すべて嘘じゃない。

もう10年以上前の作品ですがおもしろい……なんで今まで読んでなかったんだ!!新装版の装丁がとてもかわいい。6巻完結。

甘々少女漫画じゃないけどちゃんとラブコメ、馬鹿正直で常に敬語のホシノくんもツッコミ冴えすぎのネギシさんも周りの友人も愛しい。最初はギャグ成分が強めな気持ちで読んでいるのだけど2人への思い入れが深まることにどんどんぐっとくるシーンが増える。

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連載誌はアフタヌーンなので、そういう感じです。キラキラ少女漫画絵でもないし、普段こういうジャンルになじみがないひとも読みやすそうな気がする。

前回も同じようなことを書いたけれど、恋愛に興味があるというより人間の距離の詰め方に興味があるんだなと思う。ネットで友達を作っていると男女問わずそれなりの距離に仲良くなるのはハードルが下がっているけど、反対にあえてその一歩を超えて恋愛関係を結ぶのって結構たいへんだ。

朝井リョウさんの「武道館」という小説はアイドルという職業の恋愛禁止という不文律を大きなテーマにしているのだけど、なんだかわかるようでいまいち納得できなかった。不幸なのは選択肢が与えられないことであって恋愛できないことそれ自体ではないとわたしは思う。

人間生きていれば誰だって恋をするだろう、それを閉ざすなんてなんて非人道的非人間的なんだ、って言説があることはまぁ理解はするけど、それでは、そんなこと言われずとも恋愛していないのは非人道的な生き方だろうか。人生に恋愛が必要かどうか、そしてその切実さは年齢でも性別でもなく個々の人間で全然違うものだし、恋愛してないからってできないからって不幸じゃないし、そこに不幸を直結させられるとまた逆のステレオタイプを強化するだけな気がする。

自分も人生における恋愛の優先順位って多分決して高くなくて、それでもこうやって意識的に読み漁るくらい興味があるのはそれがちゃんと相手が必要なコミュニケーションだからだ。アイドルの話でいうと、偶像として解釈できるものに対して不特定多数の<N>でいられる、ファンとしての関係とは当然まったく別の文法になる。目の前にいる誰かと相違点に目を背けずにたゆまずすりあわせ続けるのってすごいことだ。



なんの話かわからなくなってしまった。アラサー少女漫画()ってさまざまなイタいイメージがあるかもしれないけどおもしろいのもいっぱいあるんだ~~!
今年読んだ書籍と恋愛ものじゃない漫画はまた今度。


何を振り返るまでもない2015年の話

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また凪のような1年が終わってしまった。
いや、もちろん要所要所ではいろんなことがあったわけだけど、時間は偉大なもので過ぎ去るとなんでもなかったような気がする。いいことばっかりだったな。楽しかったです。

わりと旅行に行った。遠征という意味も含む。

7月に行ったクロアチアは本当に本当にすばらしいところだった。夢のような1週間だった。建物がきれい。海が青い。空も青い。ごはんがおいしい。夏を主張してくる太陽。サングラスが手放せない。日焼け止めを使いきった。いい感じに街が雑然としている。海が!超青い!!

行くまでは正直どこにあるの?ってレベルの認識だったけど(イタリアの横です)本当に好きになった。今まで行った場所の中でかなり上位に入る。もう1回行きたい。




オレンジの屋根と石畳の街ドゥブロヴニクにはじまって、スプリットとフヴァール島とザグレブに行った。異国の地でいっぱい移動する旅ひさしぶりで楽しかった。交通も宿泊も個人手配だったんだけど、バスも飛行機も船も乗ってめちゃくちゃよくできたプランニングでハッピーすぎた。大人になるって超いいな。

イタリアも大好きだったんだけど、パスタにピザにリゾットで炭水化物ばっかりでさすがに限界……と思っていた(それでも食べる)けど、クロアチアは魚や牛のグリルとかタコのカルパッチョとかあってよかった。タンパク質が。オリーブオイルを使っているからかわからないけど、フヴァール島で食べたポテトフライが異常においしくてみんなで無言になった。今まで生きてきていちばんおいしいポテトフライだった。



生まれて初めてハイキングが楽しいと思った。プリトヴィツェ国立公園は価値観を変えてくるレベルの世界遺産だった。ただ山道を歩いているだけで本当に楽しい。おとぎ話のような景色の中でみんな機嫌よく歩いている。ちびっこが遠足してるし、親子3世代でぺちゃくちゃしゃべったり歌ったりしている。あ~~今めっちゃ幸せだな~~と思いながら写真を撮ったりぼんやりしたり軽口を叩いたりして足を動かした。


8月には弾丸で台湾に行った。羽田にピーチが就航したので、使って行ってみたのでした。2週間くらい前に決めて勢いでチケットとったような気がする。金曜の夜中に集合して土曜の早朝の飛行機にのって朝ついて、遊びまくって、日曜の夜中の飛行機で帰ってきて月曜の朝5時に羽田につく。やり過ぎなくらい弾丸!!!疲れた!!!笑




めちゃくちゃ楽しかったです。台湾行くと食べてばっかりだ。ずーーーーっと飽きずにしゃべっていた。大人になってから仲良くなった人たちと、こんなにバカバカしいことできるの幸せだな。

そして鳥取岩美町!!!やっと行けたよ!!!Free!の聖地!3年越しの遠距離恋愛。このエントリは結構いろんなひとにほめてもらえた気がする。何かを見て聞いて考えたこと感じたことって案外結構簡単に忘れちゃうから、こうやって書いておくと未来の自分が誰よりも楽しい。岩美もまた行きたい。
mogmog.hateblo.jp


いつも通りエンタメに生かされていた。週末だけが現実。日曜日が終わった瞬間に5日間の夢を生き始める。

今年いちばんうわ~~!!!ってなったのは迷わず「ワンピース歌舞伎」です!!ほんとにすごかった。思いの丈はすでに書いている。もうすぐ大阪と博多で再演があるからまた行きたいな。大阪は3月、博多は4月です。
スーパー歌舞伎Ⅱ ワンピース <特設サイト> 主演 市川猿之助
mogmog.hateblo.jp

あとは、デスノートのミュージカルも、初回見た瞬間にあと何回行こう、と考えていた。これも本当に好きだったな~~WOWOWで放送してくれてうれしかった。
wink-killer.hateblo.jp

宝塚だとやっぱり月組「1789」がもうもうめちゃくちゃ大好きすぎました。愛希れいかさん~~!!!衣装もすき!春の東宝版も楽しみ!


アイドル現場ではSexy Zone菊池風磨くんのソロコンサート「風 is a Doll?」を見れて本当に本当によかった。ずっと鳥肌立ってた。「こんなに好きになる予定じゃなかったんですが!?」と何度でも敗北感を抱かせてくるところが好き。全面的に敗北を認めることが恋ですよね。
日取り悪かったのもあって正直幕あくまでは結構チケットがだぶついていて、期待値としては低かった気がするし、わたしもまぁどんな内容でもいいよ!俺による俺のためのコンサート!っていうその自意識も含めてとっても見たいから!という若干邪な気持ちも多少なりともあったわけですよ。で、初日に行ったんだけど、ほんと想像の200倍くらいよくて、何に対してかわからないけどごめんなさいした。しかも最後、そういう空気の中で、「思ったよりよかったっしょ?笑」って言ってはけてくっていう……きくちくんほんと……好きだよ……。
セットリストもすごくすごくよくて、ジャニーズという文脈の強さを感じた。ああこの人がジャニーズJr.としてステージに立つようになって先輩の背中を追いかけてきた8年間で好きだと思ったものかっこいいと思ったものをこの2時間に詰め込んでるんだなと思うとそれだけでうぐぐってなった。彼にならってめちゃくちゃエモい感想を書きたいと思って結局書けていない(下書きに残ってた)。なんとなんとつい先日Blu-rayになったので見て思い出します。



あとは~~なんだろうな、「ハリー・ポッター」と「アルスラーン戦記」を全冊読んだのは楽しかった。それぞれ11冊と14冊。大人になってから読むハリー・ポッター、不思議な感慨があった。1ページまるごと覚えているレベルで好きな箇所がある。一生リーマス・ルーピンが好きだろうなと思った。アルスラーン戦記はアニメがとってもよくて、未読の原作にも手を出した。いろんな人に「まぁ王都奪還まででも……」って言われたけど怯まずに(?)全部読んだよ!
すでにかなり進んでいる(あるいは完結している)長編小説をガンガン読んでいくの、次がある安心感に背中を押されてスピードついていくのがすごく楽しい。あまりに長いシリーズ物って読むのって億劫だったけど、意外にイケそうだ。今年もそういう読み方したいな。十二国記とか銀河英雄伝説とかになるだろうか……。本読むのってほんとただただやるかやらないかなので、1回ページを繰り始めると習慣は戻ってくるなと思った。

ハリー・ポッターシリーズ全巻セット

ハリー・ポッターシリーズ全巻セット


脳天気な人間なので思い返せば楽しい日々だったんだけど、2015年はとにかく人に迷惑をかけ続けた年だったのも事実でした。ひい~~~すみません~~~!!ってずっと思っていた。頬が引きつっていた。こんなところで謝っても仕方がないにも程があるけど……いろんな人の期待や応援や好意を無碍にした気がするし、気づいていないところでももっときっとあっただろう。

去年のある時期は何もかもに本当に自信がなくて、毎日寝る前に誰にでもなく懺悔の言葉をつぶやいて記憶が消えればいいのにと思いながら倒れるようにバタンと寝て、起きた瞬間に耳をふさいで何にでもなく嫌だ嫌だと首をふって引き剥がすようにベッドから這い出て無理やり活動するみたいな日々だった。ストレスがかかっていると喉の奥がずっと狭く閉じていて、うまく声が出せないし食べられなくなる。1人でいるとずっとそうで、人と会ってる時だけはまともに血液がめぐってる感じがしていた。

当時何にそんなに苦しんでいたのか今となってはうまく思い出せないんだけど、本当に辛かったんだろう。考えていたことはぼんやりしているけど、目の前がグレースケールで世界の彩度が極端に下がっている感じはたまにざわっと肌に蘇る。一寸先は崖。まぁそういう時期はいつか終わる。と経験則でわかるくらいは、生きてきてよかったです。

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誕生日当日にディズニーランドに行くという人生で初めての経験をした。

26という数字に個人的に特別な思い入れがあるので、26歳になれたのはなんだかうれしかった。何か新しいことがしたいと思って、少しずつバラバラと小説を書いてたのだけど、今のところこれは苦手な作業だな。現実の世界って、自分の想像の枠の外にあるものがいろいろあるわけで、それをもっと探しに行きたくなっちゃって、自分の中だけにあるものにうまく没頭できない。誰かと共有するって行為がプロセスの最後になってしまうのがしんどい。なんか、だんだん自分がやりたいことというか、できそうなことがわかってきたなって気がする。


振り返るとわたしは徹底して何か特定の対象についてのあれこれしかインターネットで発していないのでこうやって自省して書きつける機会ってマジで年に1回しかない。来年のわたしが読んで意味がわかればいいのでふわふわした内容で正しいのです。……なんて不親切な!

今年の目標は「家計簿を付ける」だったんだけど5日で挫折した。幸先が悪い。

インターネットは120%リアルがむき出しだけど本当のことは10%くらいしかないな。それが両立するから好きだな。書いた瞬間にすべてがフィクションになる。読み直すとだいたい嘘ばかりだ。

今年もすべての苦労が報われるようないいことも、正しく反省して次に生かせる無様なほころびも、たくさんありますように。今年も幸福な1年であることは決まっているので大丈夫。

軽率にファンレターを書く活動の成果

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去年の後半は、好きですって気持ちをちゃんと伝えようというのを意識していて、それが精神衛生上すごくよかったという話。
好きなものに好きだと言うのは、何よりまず自分のためなのであった。


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銀座・伊東屋の竹尾見本帖、死ぬほど紙があってめっちゃ楽しい(本文とあんまり関係ない)


きっかけは、友達と昔懐かしインターネットの話をしていて盛り上がって勢いでWeb拍手を設置したことだった。エントリも書いたし最初は結構押してもらって、Twitterでリプライするようなことでもない、メールで伝えるようなことでもないちょっとした言葉がたくさん届いてうれしかった。その昔、管理人さんに小説やイラストの感想送るのすっごく楽しかったなって思いだした。拍手レスする仕組みをまったく用意していなくてすみません。こっそり見てます!!!

これね↓

mogmog.hateblo.jp

おもしろかったのは、Free!聖地巡礼鳥取岩美町にいったよ、の記事を読みましたって人がすごい多かったこと。ワンピース歌舞伎の記事はたくさん言及してもらえたけど逆に拍手コメントは全然なかった。やっぱりWeb拍手を知ってる人、押したくなってくれる人って、昔の同人サイトを通った人なんだな~!って思ったのでした。考えてみたら当たり前だけどおもしろかったです。数ヶ月経ってからどなたかのツイートでバッと拡散したことがあって、更新したタイミングと少し離れていたのもあるかもしれない。

話が逸れた。わたしは別にPVのために何かを書いているわけではないので、普段からそんなに数字は意識していないんだけど、それでも誰かが読んでくれているのがきちんとわかる手応えはうれしい。いや、そういう意味では数字でわかる部分はあるんだけど、自分に向けて書いてくれたものは少し温度感が違ってうれしい。受け手でいると、どうせたくさんのNの中の1人だって思うじゃん?そんなことないんだよね。Twitterの海に流れてる感想を拾い上げて見せてもらうのもすごい楽しいけど、誰か1人を想定してしたためた言葉ってちゃんと1対1になるんだな~ってなった。

何かの折に友人知人の創作業に関わってる人たちに聞いたファンレターの数がわたしが思ったより少なかったということもあった。それくらいなのか!と思う程度の数でびっくりした。確かにお手紙書くのって、それなりの労力いるもんね。もちろんジャンルによってお手紙を書く機会の多さとか、どれくらい一般的な活動かって全然違うからなんだけど。

それから、ステージに立つ人が身内にいる友人が、「公式アカウントへのファンの人のリプライは全部見て、こういうことしたら喜んでくれるんだな~!って思ってる」「わたしはやってないけどお母さんは本人の名前でエゴサしてると思う笑」と言ってたこともあった。そうかぁこうやってわたしがTwitterやブログでしたためている愛は、彼ら彼女らだけじゃなくてご家族に届いている可能性も十二分にあるんだ、と思った。すごいな、それ。「(任意のアイドル)を産んでくれたお母様に感謝しなきゃ……」とか伝わってる可能性あるってことですね。

というか、コンテンツを作る人やそれに関わる人達は多かれ少なかれリサーチしていると思うから、これまでもなるべくひっかかるように作品名とか作者名とか明記してきたところはある。届けばいいな~くらいは思ってたけどそれくらいだった。手紙やメール、今までもきっかけがあれば書いてたけど、意識的にハードルを下げたのでした。好きだけど書いたことない人たち、考えてみたら意外にいっぱいいた。


で、10回くらいは手紙やメールを書いた気がする。宇宙でいちばんすきなAKBの子、めちゃくちゃ応援しているNMBの子、めちゃくちゃ頑張ってほしいジャニーズの子、彼女が輝いている今この時に好きになれて幸せ!っていう宝塚の生徒さん、好きすぎていろんな人にすすめまくってる作品を描いてる漫画家さん、手が震えるくらい大好きな二次創作の小説を生み出してくれたひと……とかとか。小心者なので、お返事を期待しているように見えてしまったらやだな、と思ってあんまり住所も書かずにだったけどこれってどっちの方がいいのだろうか。。

ファンレター書きやすい環境を作るコツは自分の中で締め切り作ることだってことがわかった。いつか書こう~って思ってても案外面倒くさくてやらない(少なくともわたしはそうだった!!)(横着)舞台だったらお手紙入れる箱あるし、コミケだったら直接渡せるし、CDやDVD出たらその感想を書くぞって思えばいいし、そういう点を自分で決めていくことだなって思った。しかし即売会で手紙渡すのってめちゃくちゃ緊張する。下手したらアイドルの握手会より全然緊張するってことがわかりました。新しい発見。

あーこれ使いたい!っていうレターセット買いに行ったり、ペンの色選んだり、ステッカーを貼ったり、結構楽しい。特定の対象に直接伝えたいことって、友達とわーきゃー好き勝手話してる時と違う温度感になって自分でもびっくりする。そして恥ずかしい。でも愛の在処を言葉にして自覚するのってなんだかすごく満足感がある。そうかそういうところが好きだったんだ、応援してたんだ、めちゃときめいてたんだ…!って書きながら気付く。

女の子アイドルのファンの男性に聞いた初めてファンレター書いた話もよかった。好きな子が好きなディズニーやサンリオのキャラクターのラブリーなレターセットを買いに行くところから初体験だし、大の男がそのかわいらしい紙に向かって文字を綴るんだもんな、端から見たらなんだか凄いよね、と言われて、人生にはいろんな階段が!と思った。愛だなぁ。

週刊誌ならアンケートを送れ!単行本買うなら初週に買え!アニメならBlu-ray買え!みたいな「応援してるなら○○しろ」みたいなの、逆説的に「そうじゃない人」を罪深く見せるようであんまり好きじゃないんだけど、その点ファンレターってマジで自分事、誰に頼まれたわけでもないこちらからのベクトルでしかないから変な貢献感がなくて個人的には気が楽だった。

トップアイドルから同人作家から、友達とお仕事付き合いのあいだの人まで、いろんな人に向けてだったから返事は来たり来なかったりだったけど、もちろん来るとうれしいけど、自分としてはどっちでもよかった。というかそこの自意識をうまくやっていく訓練だった。例えばアイドルなんてみんな手紙たくさんもらうもんな~あくまでワンオブゼムだものな~どれくらいありがたいのかな~と思ってた節もあるけど、書いてみてわかったのはもはや相手に届いてほしいわかってほしいというより、自分の背筋を伸ばすためって感じだった。応援してます!!!という気持ちをダイレクトに伝える手段としてはやっぱり一番大きいな、って思える(自分が思えることが重要)。

というわけで今年もファンレター、ファンメールをしたためていく活動をしていければいいなって思っている。「ファンレターを書く」って思考回路が1回できると、折に触れて、あ、書きたいな、ってなる気がする。軽率は力なり……。

あと、好きなものの話をいろんなところでたくさんするぞ。わたしは、わたしが好きなものを、違う誰かに自分よりもっと好きになってほしい。

Web拍手にお返事しました

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ファンレター書こうぜ!というエントリを書いたらWeb拍手でいろいろコメントいただいてありがたかったのでお返事しました。
ここに書くのもなんか…なので以下からどうぞ。レスする仕組みを用意していなかったことにここへきて気付く……。

Universe, 拍手コメントへのレス0125


このエントリはちょっとしたら消します。そして久しぶりにTumblr開いたら楽しいな~。「それでも君はReblogするか?」
haruna26.hatenablog.com

終わるバラエティと終わらないアイドル

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笑っていいとも!」が終わった。32年。途方もない時間。
生まれて初めて「いいとも」の放送していない世界が幕を開けた。


正直言って、「いいとも」であることは画面を見ればわかってもどんな内容やってるのかよく知らない。テレフォンショッキングくらいしかコーナー名知らない。

でも、ただただずーーーっとそこにあった。
終業式の日に早く帰ってきて、午後からまどかちゃんの家に遊びに行くからごはん食べよ、と思って誰もいない家でお母さんが作り置きしてた焼きそばをチンして食べてるとき。
高校2年の文化祭が終わって疲れて熱出してぶっ倒れて、日が高くなってから眠りから覚めてふらつきながら冷蔵庫を開けてとりあえずポカリスエットに手を伸ばした時。
ショッピングモールの試食販売のアルバイトの昼休みの休憩室で見知らぬ老若男女が集まってひとつのテレビをぼんやり眺めてるとき。
起きたら案の定2限間に合わなくて昨夜の酒が残る痛む頭でどうしようもない気持ちでチャンネルまわしたとき。
全部同じ画面だった。

すごいことだ。テレフォンショッキングを見るとソース焼きそばかチャーハンが無性に食べたくなる理由が2014年3月31日になってついにわかった。ひたすら日常であることはものすごく強靭で特別なんだね。わたしは「大いなる平凡」て言葉が大好きなのだけど、あのサーカスみたいな、お菓子のおまけのシールみたいなあのスタジオは、映像としてかなりイメージに近いような気がする。

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「そもそもなんで終わるんですか」
香取慎吾さんの言葉にハッとした。考えたことなかった。「終わります!」「えーそうなの!」以上の思考がなかった。いやもちろんあって当たり前のものだったからびっくりはしたけど、終わるときには終わるだろうって思ってたから。そこに理由を問う気がなかった。


突然だけど、いろいろな感情はあるけどなんだかんだAKBが好きだ。2年前の夏、ずっと目標にしていた東京ドームでのコンサートを迎えて、前田敦子を失って、「このあとどうするんだろう」と素朴に思った。明らかに一時代が終わってしまった。オワコンだわー、という意味ではなくて、どう続けるんだろう、って思った。そこからジャニーズや宝塚に興味を持った。50年や100年、脈々と続いている集団に。どうやって求心力を保ち続けてるのか、何を目指してるのか、どこを見ているのか。

ジャニーズは勉強すればするほどおもしろかった。小学生の頃、最初に恋したアイドルは加護亜依さんだ。そこから女の子を愛でてきた自分には「卒業」がないのが衝撃だった。いつまでも見てられる! なんて幸福なものじゃなかった。むしろ怖いと思った。だって終わりがない。

多かれ少なかれ、今までいつか卒業するんだと思って見ていたことを裏側から初めて自覚した。べらぼうに人数の多いAKBは特にそうだ。誰かの卒業が発表されると、次はもしかしたら、と無意識に頭をよぎる。あの子もうハタチだし。やめてもおかしくないし。むしろやめて別のこと始めるなら今くらいだし。コンサートの度に握手会の度に、次はいなくてもおかしくない、と心のどこかで多分思ってる。

それは必ずしも悪い感情ではなくて、アイドルを降りてもっと幸せなあるいはもっと自律的な人生を歩めるのなら本当にいいことだと思う、即刻わたしたちの前から消えてもらっていいよ、と思う。でもまぁ、ファンというのは難儀なものだ。いざそうなったらさみしくて死にそうになる。ただ「選べる」ことはポーズであっても担保されてる。どちらでもいいから、ファンのことなんて考えずにもっと利己的に自分勝手に、ちゃんと選んでねって思う。アイドルじゃない人生をとるなら、それはそれで真っ白に明るくあるように願う。

ジャニーズは違った。ずっとアイドルだった。降りることはほとんどない。……いやあるけど、最近もあったけど、レアケースだ。木村拓哉はいつからキムタクでいつまでキムタクなのだろう。きっとこれからも。その確信がこっちにもある。

「歌の世界にはライブがあって、最終日があって。ドラマにはクランクアップがあって、映画にもオールアップがあって。ゴールに向かって進むじゃないですか」
「でもバラエティは終わらないことを目指して進む、覚悟を持たないといけないジャンルなんじゃないか」
「ゴールがないところで終わらなければならない。こんなに残酷なことがあるのかなと、思います」

タモリさんに向けて中居正広さんが言ってたこの言葉が、わたしがジャニーズを勉強し始めて1年半で感じていた得体のしれなさとどこか似ていて鳥肌が立った。アイドルとして生きることに終わりがない。ゴールがない。SMAPは、多分きっと死ぬまでSMAPだ。

うーん、かわいそう、とかではなくて……。覚悟の凄さに改めて震えた、というと陳腐な言葉になってしまうけど。人生をまるごと見せてもらえているのは超すごくて、でもとても怖い。女の子のアイドルはいつもすぐに「推し」を決められるけどジャニーズは「担当」を全然決められない、というか決めてしまうのが怖かった。その先にある時間が長すぎる。死ぬまで付いていくからね!!!とかじゃなくて、いつか視界から外れる日が来てもきっとずっとこの世界にいるんだって思うから。

でも、そんなこと思うのすら失礼だなってなってきたのだ。去年のSMAPはあまりにエモくて、5人で車で旅行してるだけで、「無駄なことを一緒にしようよ」って笑顔で歌うだけで、なぜか何度も泣いてしまった。ああ20年って。おっちゃんたちずるいよ。

本人たちの重ねてきた年月もそうなんだけど、応援するとかされるとか以上に、ファン自身の人生と寄り添っているんだなって感じがすごくすごく強かったからだ。お母さんと一緒にファンになって、受験勉強で苦しんで、恋をして失恋をして、仕事で悩んで、しんどいことがあって大泣きして、結婚して子どもができて、そういうすべてでずっと側にあるってなんて尊いことなんだ。人生が重なる。長く続けるってそういうことなんだなあ。「終わらないことを目指して進む」。もうそれが彼らの「大いなる平凡」なんだなって。

トップアイドルとしての彼らの人生も、協調性も向上心もなくだらだらと時間を溶かす女の人生も、等しく続くのだ。神様は残酷に平等でくらくらするな。平凡は強い。明日もウキウキとがんばろう。


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伊豆諸島の真ん中 式根島に行ってきた(前編) #tokyo島旅山旅

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伊豆諸島・式根島に行ってきた。東京都の観光事業「tokyo reporter 島旅&山旅」で行かせてもらいました。
いろいろあったけど(後述)楽しかった!青い海と白い砂浜とまっすぐ伸びる水平線のすごく美しい場所だった。好きになった。次は夏に来たい。
TOP|tokyo reporter 島旅 & 山旅


レポーターとして東京の離島に行きませんか?と声をかけてもらって、いくつか選択肢があった中で式根島を選んだのは全然知らない場所だったから。絶対自分じゃ行かないところにせっかくなら……と思って決めたのでした。

伊豆諸島と言っても結構広いわけで、式根島は東京から南に約160キロ、大島よりは遠くて、八丈島よりは全然近い、一般に「伊豆諸島」と言われる範囲のちょうど真ん中あたりにあります。1周12キロの小さい島(ということをもちろん調べて知ったわけですが)。
式根島オフィシャルサイト | 東京都伊豆七島の旅行|白いビーチ、海水浴、温泉など

式根島

いくつか行く方法はあるのですが、今回は行きは飛行機、帰りは船の予定を組んだ。飛行機!? ってなるけど、調布に飛行場があるんですね!!知らなかったよ!!
というわけで旅は調布飛行場からスタート。19人乗りのちっちゃい飛行機に乗ります。すでに楽しい。



12:45に出発して13:25に新島に着く。式根島へは新島から連絡船で渡ります。

夕方の船まで時間があったので、だらだらと空港から海沿いへ歩く。この日はめちゃくちゃ天気がよくて気持ちいい。海が超青くてまぶしいくらいだ……。新島はサーフィンで有名な場所なんですね。しかし冬場なのもあって何もやってない。お店も全然あいてない!お昼の時間は終わっている!暑い日だったのでアイスを食べる。海沿い歩きながら食べるアイス超最高だ。




港から10分くらい歩いたところに「湯の浜露天温泉」ていう24時間無料で入れる場所があるらしいので行ってみる。「古代ギリシャをモチーフにした建物が目印です」ってなんだ……?と思ってたけど行ったらわかりました。かっこいい!!

平日の昼間ですが人がいた。横に足湯があるのでくつろぐことにする。地元のおばさまが1人でいらしたのでこんにちは~って声をかける。こんな時期に珍しいわねえ、あはは、ちょっと旅行で、そうなの、足湯ちょっとぬるいでしょ、いつもはもう少しあったかいのよ、海の様子で変わるの、そうなんですか、今日はとってもお天気がいいから気持ちいいですね。浜辺できれいな貝をひろってきたところ、というので見せてもらって、少しもらう。かわいい。帰って瓶に詰めよう。




しばらく過ごして船着場へ。結構人がいる。式根島と新島は2島1村で「新島村」なので役場とかはこっちにあるんだって。あと、式根島には高校がないので、通学に船を使うらしい。


港で明らかに旅行~って感じで写真撮ったりしていたら何しにきたの?って話しかけられた。特に何が目的ってわけじゃないんです、初めて来ました、みたいに話していたら、そうか、ひまだったら電話しな、って連絡先を教えてもらう。ドラクエみたい。

着いたらもう夕方。「ラ・メール SHIKINE」に泊まります。すっっごく豪華なお食事を出してもらう!!赤イカおいしい。

ご機嫌な土曜日

式根島観光を始めるぞ。オーナーの齋藤さんに朝ごはんを食べながら相談して、車でぐるっと一周ハイライトしてもらうことに。シーズンオフの1人客にとっても親切にしてもらってすっごくありがたかった……! 式根島は小さい島ですがアップダウンがかなりあるので歩いて回るのはちょっと大変です。普通に来たら自転車(電動だと楽)を借りるのがよさそう。

まずは島の北側、泊海水浴場から。写真を見ればわかりますが、崖の下に砂浜が広がっていて、入江がきれいに視界にはいってめちゃくちゃテンション上がる!!海だーー!!と騒いでいたら昨日から海見てるでしょ!と笑われた。式根島は島の地質で砂浜が真っ白なのもリゾート感たっぷりだ。プライベートビーチみたい。これ、海水浴できる時期に来たら絶対気持ちいいな……。パラソルの下で1日中波の音を聞きながらごろごろしたい。Kindleで本を読みたい。

神引展望台。高低差が少ない式根島でいちばん高いところ。階段を少し登ってたどり着く。リアス式海岸のゆるやかで力強い曲線がすごくきれい。海が青い……。晴れてれば富士山まで見えるらしい。写真より実際見たほうが飛び込んでくる全部が濃い。


朝早くて風が強くて寒かったけど一気に目が覚めた。ここが東京都内だなんて!こんな場所があるんだな~。

オーナーさんも世界中いろいろ旅したけどここの景色が一番好き、と言っていた。季節によって、時間によって、全然表情が違う、毎日違うって。そうだろうなぁ。上の2枚はすこし違う時間。夏は夏でキラキラしてるんだろうな~~!

石碑に白く積もっているのは塩なのだそうで、舐めてみな、と言われてすこしすくてぺろっとした。しょっぱい。


南の方にも展望台がある。潮の流れなのか日の当たり方なのか、青の色がずいぶん違う。

白い砂浜の海岸。

神様が降りてきそうな空。

ご利益がありそうな霊言を感じる木。





もうすぐ小学生になる男の子も一緒に案内してくれた。式根島のちびっこたちは冬もビーサンらしい。小学校に入ったら靴を履く!笑 林の中の階段も急な坂道もざくざくのぼる、走る。
最近はスター・ウォーズにハマってて、エピソード7をお正月に東京で見たそうで(もちろん島に映画館はない)。シリーズでどれが一番好きなの?と聞いたら、うーん、ファントム・メナスかな~!と言っていた。かっこいい。好きなキャラはヨーダ!と意気揚々と教えてくれたけどちょっと前までダース・ベイダーだったじゃん、とパパに突っ込まれていた。かわいい。

地を裂く温泉

式根島は、24時間無料で入れる露天温泉がなんと3つもある。何より地鉈温泉のインパクトがすごい。「地面を鉈で切り裂いたような地形から地鉈温泉と名づけられた」。

このね、一番下に温泉があります。



温泉だ!!(落としそうで怖くてうまくカメラが持てない!!)


見てわかる通り、目の前が海!!24時間無料で入れる露天温泉で、潮の満ち引きで温度が変わる。なので熱いかもしれないしぬるいかもしれないし……で結構難しいらしい。あと当然また登って戻らなきゃいけないので結構過酷!笑 え~でもここから夕日見たりしたら絶対気分いい。朝なのですこし曇っているけど、天気がよくなるともっとピカピカになります。

「泉質は硫化鉄線。温度は80度と高く、神経痛、リュウマチ、胃腸病、冷え性等に効能がある。別名『内科の湯』とも言われている」(公式サイトより)というとおり、昔から湯治に使われていたらしい。歴史がある温泉なので、行きすがら壁のように立ちそびえる岩に文字が彫り込んであっておもしろい。昭和○年、宏、とか、刻んであって時の流れを感じる。ずっと残ってるのすごい。

2つめは足付温泉。松の生えた海岸沿いの小道をすこし歩いて行く。

……温泉です!!!普通に海かと思うけど温泉!潮だまりかと思うと手を付けるとあったかくてびっくりする。

完全に岩場ですね!ちょっと怖い。こちらも潮の具合で温度も水位も変わります。あと、さっきはお湯が赤褐色だったけどこっちは透明。こんなに近いのに違う泉質なんてちょっと不思議だね。

3つめは松が下雅湯。足付温泉の手前に、地鉈温泉のお湯を引いて作られた人口の温泉で、地元の人はこっちに来るらしい。駐車場も近くて入りやすい。脱衣所もシャワーもあるよ!あと足湯もある!


ここももちろん海の目の前です、め、めちゃくちゃ入りたい……!
ここには後でもう1回、楽しいことをしに来ます。温泉といえば、という楽しいこと。


さて、だいたい島のハイライトはしてもらったのでここからは後半戦。
なんですが、書きたいことがまだまだあるので前後編に分けよう……。続きは別のエントリで。このあとちょっと、大変なことになります。

Kindleで幻冬舎本がセールだそうで

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幻冬舎電子書籍セールだそうで!!!買ったり迷ったり読んでほしかったりするものを探したよ。25日まで。

Amazon.co.jp: [電本フェス]幻冬舎ほぼ全作品40%OFF(2/25まで): Kindleストア
今週のKindleセール!幻冬舎・翔泳社ほぼ全作品対象の大規模セールや司馬遼太郎『坂の上の雲』など文藝春秋合本版半額ほか - きんどう


さて、最初は森博嗣大先生様から。

神様が殺してくれる

神様が殺してくれる

タイトルと表紙がとても好き。パリやミラノが舞台でこういう空気感、森博嗣作品だとちょっと珍しい気がする。読みたかったけどスルーしてたのでこの機会に買った。

これも珍しい雰囲気。私小説タッチ。

めちゃくちゃに筆が速い人が自分の作家としての収支をさらけ出すってだけで超読みたい。書誌情報だけでぞくぞくする。森先生はすごい。この人が、自称引退済みだという現実。

1996年38歳のとき僕は小説家になった。作家になる前は国立大学の工学部助教授で、月々の手取りは45万円だった。以来19年間に280冊の本を出したが、いまだミリオンセラの経験はなく一番売れたデビュー作『すべてがFになる』でさえ累計78万部だ。ベストセラ作家と呼ばれたこともあるが、これといった大ヒット作もないから本来ひじょうにマイナな作家である――総発行部数1400万部、総収入15億円。人気作家が印税、原稿料から原作料、その他雑収入まで客観的事実のみを作品ごと赤裸々に明示した、掟破りで驚愕かつ究極の、作家自身による経営学


科学的とはどういう意味か (幻冬舎新書)

科学的とはどういう意味か (幻冬舎新書)

この書評がとってもいい。「個人ではなく、みんなで築きあげていく、その方法こそが科学そのものといって良い」「科学者は、すべてが説明できることを願っているけれど、すべてがまだ説明できていないことを誰よりも知っている」。
seisin-isiki-karada.cocolog-nifty.com

幻冬舎セールとはいっさい関係ないんですが、新レーベル講談社タイガで刊行がはじまったシリーズがミステリィじゃなくSF、人工知能と人工細胞と生きていかざるを得ない永遠に命を永らえさせられる人間の世界、人工細胞とアンドロイドが当たり前になって人間とヒューマノイドがどこまでもあいまいになっていく近未来の話でアツいのでおすすめです。真賀田四季とかミチルとか出てきて過去作品の読者としてもぐっとくる。1作目は得意のダブルミーニングだし、2作目は「魔法の色を知っているか?」っていうタイトルが本当に好き。


小説。

有頂天家族、まさか続刊が出るとは!!とびっくりしただけで読んでいなかったので買った。アニメも好きだったな~。しかし森見登美彦作品を読むと自分の文章のリズムまで変わってきて気持ちがいい。タブレットスマホの画面でテンポよく読むのが楽しいよ。

ここは退屈迎えに来て

ここは退屈迎えに来て

「わかるー、共感ー、なんて軽々しく言えないしこの本読んでそう簡単に言うやつは信用しない。男も恋愛も結婚も出てくるけど、ただもうどうしようもなく、ここで生きてくしかない女のあるいは哀しくも永遠に女子でしかない人たちのお話だった。女女女。」「しかし、わたしは東京“しか”知らないのだよ、それはある意味なんて貧困なのでしょう」「灰色で砂っぽくてそこかしこが錆びたロードサイドの変わりばえしない景色の中にあるでかいショッピングモールと隣の廃墟の落書きに色付けられた生活を知らない」――と2012年の私が書いている。

「私には、ブスの気持ちがわからない。」って書き出しの破壊力よ。
cakesで冒頭が読める。
私には、ブスの気持ちがわからない。|わたしの神様|小島慶子|cakes(ケイクス)

凍りついた香り

凍りついた香り

「今でも彼の指先が、耳の後ろの小さな窪みに触れた瞬間を覚えている。まずいつもの手つきでびんの蓋を開けた。それから一滴の香水で人差し指を濡らし、もう片方の手で髪をかき上げ、私の身体で一番温かい場所に触れた」。小川洋子の冬の湖みたいな文章はいつまでも特別な感じがする。

アムリタ (上)

アムリタ (上)

ハゴロモ

ハゴロモ

ああ、吉本ばななを読み漁った日々よ……私の血と肉。アムリタ、人生でいちばん読んだ本の1つだ。結構幻冬舎から出しているのでいろいろある。

とっても面白くてわかりやすい。素粒子と量子物理学と宇宙!超ミクロと超巨大!村山先生の本は全部好き。

言わずと知れた。タイトルからしてかっこいいし、中身もかっこいいし、シェフは戦士だし、働くということはすごい。

貴様いつまで女子でいるつもりだ問題 (幻冬舎単行本)

貴様いつまで女子でいるつもりだ問題 (幻冬舎単行本)

読みたかったけどなんだかんだ買ってなかったのでこの機会に。ほんとだよ、我々はいつまで女子でいられるのか。女子会していられるのか。

中身漫画なんですね。ちょっと読みたいけどどうしよう。

こないだ出たばっかりのもセール!これタイトルがタイトルだけど中身は凄まじい切れ味なので、なんか、うん、「恋より楽しいことがある」みなさんは読んだらいい。電車の中で広げるのは微妙にはばかられるので電子書籍だとよさそうだね!!
書評が面白かったので借りて読み始めて今まだ数十ページなんだけど「私も合コンさしすせそ的なものを実践しながら『こんなことしなきゃモテないなら死んだほうがマシだ』と思っていました」「恋愛はキノコ狩りに似ています。素人はいざ森に入ってもどこにどんなキノコが生えているかわからない」「見た目を変えるのはメンタルを変えるよりも手っ取り早い」「自意識過剰だからといって銃殺されるわけじゃない」とかロックな文言が並んでて、いいです。なんかこう羅列すると、あ~そういう本ね~って感じに思えるけど、実際読んだ方が、なんだろう……勢いあるしごめんなさいって気持ちになる。ほんとなんなんだろうね、人生にとって、恋愛って、マジで……。
www.excite.co.jp

幻冬舎セール、前回は逃していたので今回はちゃんとラインナップながめられてよかった。
Kindleは幸福な悪魔の道具!


またもやセールは関係ないですが歪んだアラサーもそうじゃない人も読むべき漫画「波よ聞いてくれ」、2巻もアクセル全開で中央分離帯をぶっ壊しそうなグルーブ感で最高でした。

伊豆諸島の真ん中 式根島に行ってきた(後編) #tokyo島旅山旅

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旅行記の続きです。前編はこちら。
前回のあらすじ:真冬の伊豆諸島・式根島に週末旅行に行くことに。調布空港から新島へ飛行機で、新島から船で式根島に渡ってきました。目的地である式根島に到着し、一通り観光したんだけど、この後大変なことに……?
mogmog.hateblo.jp

気まぐれな土曜日

朝から活動してたのでまだお昼前。近くの商店でパンを買ってきて、部屋で食べながら、電話しました。
……昨日船着場で会ったお兄さんに。「電話して」って言われたので本当にする。

「あ、どうも、昨日船のところで会ったのですけど」
「お~! 来る?」
「えっいやお、忙しくない時で、お時間ある時でいいですよ!」
「いつでもいいよ、何分後?軽トラで行くわ」
は、はやい。話がめっちゃはやい。

昨日の時点で泊まってる場所は言ってあったので超スムーズ。ドキドキ。

そして数分後、着いたのが、



いちご畑!!!

1月の伊豆諸島でいちご狩りするとは!!ビニールハウスの中はあったかい。

とちおとめ、超おいしい。

連れてきてくれた綾真吾さんは、すこし前に脱サラして式根島に移住してきて農業をスタートしたそうで、今はいちごと烏骨鶏飼育をしているんだって。快くいろいろ案内してくださって本当にありがとうございます……ドラクエ感。

いちご畑専用の畝を作る機械があるってことを初めて知ったよ。その機械に描かれてるイカしたうさぎ。うねパンチャー!

就農して日が浅い中で何を栽培するか、いろいろ考えていちごに行き着いたのは、伊豆諸島……に限らず離島地域はどこもそうなのだろうけど、どうしても物資の輸送に日数がかかってしまうから新鮮なものの割合が少なくて、子どもも大人も喜んで食べてくれるものは何かな~と思ったことだそうで。確かにいちごって、目の前にあるだけでテンションあがる。ちょっと特別な感じがする。濡れたような赤が宝石みたいできれいだ。

とりあえず試験的にやってみたので今はハウスは1つだけど、土壌的にも大丈夫そうと分かって、来年は数倍に拡大する予定らしい。そうかぁ農業を始まるって何を育てるかから自分で調べて考えるってことなんだ!当たり前のことだけどそうなのか~!と思った。伊豆諸島で苺農家初めてかもね、と言っていた。初めて、すごい。あとちょっとで今年のシーズンは終わりです。


続いて烏骨鶏も見せてもらう。
うこっけい、って聞いたことはあるけどどんな鳥だか知らないぞ。
※当然ですがここから鳥注意(一応)


鳥だ。


か、かわいい……。真っ白でふわふわ。肉も骨も内蔵も黒いんだって。ひえ~~!顔も黒い。愛嬌がある。全然目を合わせてくれない!!笑

なぜそんなにぎゅうぎゅうに詰まっているのか君たちは?(一番右)

すみっこに卵が!

烏骨鶏は普通のニワトリとくらべて産卵数が5分の1くらいで、まず卵をとれる数が少ない。サイズは小さめだけどビタミンやミネラルの栄養価がすごく高いことで有名な高級食材で、東京のデパートだと1個500円とかで売ってます。高級だね。

綾さんの両親も式根島に住んでいて、もともとお父さんが趣味で飼っていて、あれよあれよと(?)増えていったそうです。有機飼料を使って、広々した場所で散歩させながらのびのび育っているうこっけいちゃんたち。


(勝手に写真を組み合わせてアニメーションを作ってくれるGoogle Photoの機能が役立っている)

ひとしきり遊んだあとに、また車へ。卵を持って。
「食べたい?」「食べたいです!」「じゃあ食べよう」

朝行った場所にまた戻ってきました。24時間無料開放の雅の湯!

温泉につけてる、ということはまさか。
……そうです温泉卵!!!
ただでさえおいしい烏骨鶏の卵の温泉卵なんておいしいに決まってますよね?楽しみすぎる。

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足湯でくつろぎながら待つ。

できた!開封の儀。




………め、め、めちゃくちゃおいしい。甘い。びっくりした。黄色みは強くないけど味は濃い。しかも海直結の温泉だから自然に塩味がつくのです。えっおいしい……。調子に乗って2,3個食べてしまった。これごはんに乗せたい!!お醤油垂らしたい!!!それか夏海水浴したあとにそのままファストフードとして食べたい!!疲れた身体に温泉卵!

烏骨鶏の卵は直販でお願いすることもできます。
ちょ~~~おいしいのでおすすめです。そりゃスーパーの普通の卵よりは全然高くなってしまうけどおいしいです。
……でもどうやって頼めばいいのかな?笑 確認してまた追記します。

海と火星

予想外の方法で温泉を堪能して、今度はまた違うところへ。今度は島の西側。

神引展望台にまた来たよ。きれいだな~~!!

ハイキングコースがある。



柵とかまったくない完全な崖。怖い怖すぎる。


映画のロケができそうな荒涼とした大地。スター・ウォーズだ!!(朝スター・ウォーズの話をいっぱい聞いたので引きずられている)

謎の展望デッキ。何も展望できないけど空は見上げられる。


空が青いし広い。

インターネットせずに黙々と過ごした。頭すっきりする。海の真ん中に島ができて、人が住んでるのすごいな……ってなんだかやけに大きいものに思いを馳せる。


超初級ハイキングコースを終えて、綾さんとお別れ。大変お世話になりました。
せっかくなので雅湯に入って帰ろう。

雅湯は水着着用で入ります。手前の小屋が更衣室になっていて自由に使ってOK。この時は早い夕方だったけど、ちらほら地元の人が来ていた。

正直行く前はまぁ冬場だし…水着も面倒だし…と思っていたのですが、朝来て見てたらこれは絶対にハッピーすぎると思って簡単に鞍替えしたのであった。

ずーーーっと海をながめてぼんやりしてるの幸せだった。頭がからっぽになる。することがないので波の数を数える。風が吹くとすこし冷たくて肩までつかる。熱くなってきたら腕を岩のへりにのばす。なんだかいろんなことをぐるぐる考えてるような考えてないような気になる。茶色いお湯をつまさきでかきまわす。両手でお湯をすくってちょっとずつ落とす。もぐりたい気持ちになって、いやいやここは海じゃない、って正気に返る。

夏は海で泳いでそのまま入れるんだな~最高じゃないですか?絶対最高だよ。すこしずつ日が傾いていくのを眺めた。

おみやげを買った。ふわふわした島のり、ごはんの上に乗せてお醤油をすこし垂らすとそれだけでおいしい。

帰って夕ごはん。「ラ・メール SHIKINE」さんは夕食が、和食と洋食で選べる。1日目はお魚とか食べたいなと思って和食にしたのだけど、洋食がとっても素敵なので超超おすすめです。

……コースなの!!アンティパストからデザートまで1皿ずつ出てくるコース!えーイタリアンのコースなんてびっくり!という声を聞きたくて準備しているんだって。確かに夏休みに行くような民宿やペンションてどこもなんとなく似たような食事だし、そういう気持ちでいるからこんな感じだとびっくりする。小さいお子さんがいるお家とか、なかなかゆっくりこういう形で食べられるチャンスも少ないかもしれないし、ちょっと特別な夜になりそう。

しかも全部、すごくおいしい。食べ過ぎてしまった、1人で。

デザートとコーヒーを食しながらオーナーさんとおしゃべり。

「明日大丈夫ですかね……」
「どうだろうね~~ギリギリ大丈夫、かもしれないし、大丈夫じゃないかもしれない」
「こわいよー!それっていつ決まるんでしょうか」
「朝にはわかるから、ごはん食べにここに来てくれた時に」
「……はい」

ええとですね、実はこの日超巨大寒波が西日本に近付いていたのでした。1月の後半の週末です。前週は東京が大雪で、よかった今週じゃなくて!と安堵していたのですが、まさか2週連続でスーパー悪天候に見舞われると思いませんですよ!

伊豆諸島の周辺は冬場は海がしけることが多くて、ひどい時は週に半分くらい船が結構になるレベルだとか。天気がよくても風が強いとだめ。春から夏にかけて以外はわりと不安定で、島を出ようにも出れない、だって船が出ないから、ということになります。今日は天気……よかったんだけどな……。今のところ風そんなにないんだけどな……。これは祈るしかありません。

悲しみの日曜日

朝起きた瞬間わかりました。

あ、これダメだわ。

とにかく超風が強い!!!部屋の前の木が吹き飛びそう!!気が動転してちゃんとした写真を撮ってなかったのでこんなのしかないですが、ブレまくっているのがわかるでしょうか。こんな風にお部屋は離れとして並んでいます。

というわけで、本当は式根島から11時半頃にフェリーに乗って、約8時間かけてのんびり東京に戻ってくる予定だったのですがそんなわけにいかなくなりました。そして日曜日の船はこの時点ですべて欠航が決まったので必然的に帰国(とあえて言おう)は最短月曜日になります。しかも、明日も帰れない可能性もあるっちゃある……という……。


……いや、考えても仕方ないのでさっくりと明日とりあえず午前休でお願いします!がんばって帰ります!と連絡してフェリーじゃなくて飛行機の手配をすることに頭を切り替える。

しかもねー、天気はめっちゃ晴れてるんですよ。朝8時のひんやりした空気。確かに波が高い。



次の予定は24時間後、なので黙々と部屋で過ごす。持ってきた本を読んだり、Kindleで漫画を読んだり、ある意味ものすごく休日らしい休日を過ごした。なんだかんだ東京にいると予定を入れてしまうから。あんまりインターネットもせずにiPhoneを手放して(今回の旅の目的としてネット解毒も頭の片隅にあった)ぼんやり過ごすのは案外悪くなかった。だってどこにも行けないんだもの。ここから出られないの、ちょっと楽しい。吹きすさぶ風の音にすこし怯えながら、誰にもじゃまされずに昼間から眠った。

夕方には温泉に行った。屋内の温泉施設「憩の家」は200円。これも地鉈温泉と同じ泉質。当然島のみなさんは顔見知りなので話しかけられる。帰れなくなったんですよね~って笑う。
式根島温泉 憩いの家|施設案内|東京都新島村

ひまを持て余しているのでぷらぷらと歩いて帰る。さっきまで一緒にお風呂に使ってたおばあちゃんが「あら、あなた歩いてくの?湯冷めしないようにね」って言いながらバイクで横を走り抜けてく。かっこいい。

式根島には1箇所だけ信号がある。信号がないと子どもが信号を知らないまま大きくなっちゃうからね、と言われて、なんだか特別な感じがした。みんな知ってる赤と青。


夕ごはんはまた洋食にしてもらった。今日はお魚だ。エビとあさりのチーズクリームソースのパスタが超おいしかった。ハッピーな日曜日。


明日は帰れるかしら。また眠る。

決戦の月曜日

あ、大丈夫な気がする。

起きたらあの凄まじい風は止んでて安心した。7時に朝食を食べて、大丈夫だって!と教えてもらって、7時40分の船を目指す。

とってもお世話になりました。次は夏に来な!って言われる。本当にそうです!!ここは夏来るところ!絶対天国!夏場は高速ジェット船という選択肢もあって、それだと竹芝桟橋からなんと2時間20分で来られる。速い。

船で20分くらいで新島へ。通勤通学で使ってる人も結構いる。天気よい。

本当は9時40分の飛行機で帰りたかったんですが満席だったのでロビーで待っていることにしたので早く来た。……んだけど、まぁもともと19人乗りだし、月曜の朝だしそりゃ無理だよね!ということで午後まで待ちぼうけ。でも、朝イチの飛行機で帰れば10時20分には調布に付くので、午前中には戻れるってことですね。土日フルで楽しんで月曜朝に帰るプランもありかも。

お察しの通り暇なので、暇にまかせて散歩に出た。
……海が凄い。


めちゃくちゃ青い。

すごいグラデーション。



石のどうぶつがたくさんいた。


数十分ふらふらして空港へ戻る。寒い寒い。必要なメールはiPhoneで返せるし便利な世の中ですね。
さあ、帰るよ!!


晴れていたので遠くに富士山も見えた。小さな飛行機で高度も低めなので、結構ずっと景色を見ていられて楽しい。

東京だ!

14時半過ぎに到着!は~~よかった!!


というわけで、2泊3日……の予定が不慮の事故によって3泊4日になった式根島への旅、これにて終了です。
式根島は見るものがたくさんあって時間が足りない!というタイプの“観光地”ではないけど、島ならではののんびりした感じとか、とにかく広い海と広い空を見てぼんやりするじわじわ幸せな感じとか、他のどこにもなさそうな温泉とか、そういうものが楽しめてすっっごくいいところでした。何度でも言うけど、夏!夏に行きたいよ!!笑

今回私が参加したPR施策「tokyo reporter 島旅 &山旅」のサイトでは東京の山村や離島への旅行記が他にもいろいろ読めます。
tokyoreporter.jp


無責任でひねくれてて煮え切らないぐずぐずシティロマンス「A子さんの恋人」が最高

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ひねくれた大人の無責任シティロマンス恋愛漫画「A子さんの恋人」が本当に最高。トーキョーとNYをまたにかけて、阿佐ヶ谷や御茶ノ水台東区や京成ライナーやスタバやユザワヤ世界堂伊勢丹やイナムラショウゾウであれこれ。ひえ~都会的ですね~~~。1巻も大好きだったけど2巻がおもしろすぎて、あまりに好きすぎて読んで読んでと言って回っている。


主人公の「A子」さんは漢字だと「英子」なんだけどこの表記になっていて、そこからしてすごい好き。「エイゴのエイに、子です」と言ったら「A子」って書かれたことがきっかけなんだけど、名前なんてそんなもんだよね、他人にとってはね、けいこちゃんゆうこちゃんも「K子」「U子」だね、ところで、あなたたちの名前の漢字ってどんなんだっけ?という話から始まる(「10年来の友達の名前、普通忘れないよね?」と返すけいこちゃん)。

A子さんは3年間NYに住んでいて帰国したばかりなのだけど、3年前に微妙に別れきれていない元カレ(と言い張っている)と、NYに置いてけぼりにした現恋人(ということに一応なっている)がいて、それぞれ仮の名前として“別れたつもりの男の名をつまびらかにしてもしかたがないので”「A太郎」と、対比として日本語ペラペラインテリメガネで性格の悪い「A君」と置かれていて、それで話が進む。2人の合間でふわふわしているのを周りでやいのやいのして応援したり引っ掻き回したりする友人たち。三角関係と言っていいのか微妙なくらい、あるのかないのかよくわからないぐだぐだで煮え切らない優柔不断さ。

クズい男が出てくる漫画は山ほどあるけど、A子さんは女性の側もクズとも言い切れないそこはかとないダメダメさ、どうしようもなさ、問題を先延ばしにしたがるそれあかんやつや!感があるのがいい。けいこちゃんもゆうこちゃんもそれぞれ歪んだ心根を持っていていい。無自覚に末恐ろしい女と、性根が悪い男と、性格が悪い男と、性格の悪い女たちの話。

……って書くと、あーはいはい最近流行りのアラサーものね、って感じだけど、「アラサーあるある」っていうより、人間あるあるっていうか寓話的な作りでおもしろい。いちいち出てくるエピソードが妙に生々しいのに現実的ではなくて、生活感があるのにファンタジック。そして端々のセリフのひねくれ感にやにやする。


1巻も好きだったんだけど2巻でさらにぐわっとおもしろくなった。それぞれのキャラクタのいいところと悪いところがどんどん見えてきて思い入れが高まっていく。A子さんはますますダメダメだなあ!!けいこちゃんいろいろがんばれ。ゆうこちゃん強い、わかるよ。A太郎、お前は本当に悪い男だよ……。A君性格悪いだけじゃなくてかわいいところあるじゃんか~~!!好き!!!

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しかしねえ、A太郎ね。ほんとにね。随所随所で、こ、こ、こいつ……!(好き!!)ってなってしまう。作者の近藤聡乃さんが1巻発売時のインタビューで言ってるここの一節が大好き。

──A君だけが悪くないということは、A太郎は悪いんですか?
悪いと思います。生まれたときから悪い。女の子をとっかえひっかえしていること自体はそんなに悪くないと思うんですが。

──親しくもない家にあがりこんで、馴染んじゃう、という才能が悪いと。

やっぱりお正月にぜんぜん知らない人の家に堂々と行って、馴染んでカルタして盛り上がってちゃっかり終電で帰るっていうのは悪質だと思います。人としてやっちゃいけないことなんじゃないかと思う(笑)。

natalie.mu

A君とA太郎とどっちと付き合いたい!?(きゃーきゃー!)みたいな感じではなく、とにかく後先をどうしても考えちゃうオトナの人間同士の距離感の話なので、恋愛漫画ではありますが自分の胸に手を当てて日頃の行いについて考えさせられる。人はみんなどこかダメ人間なわけじゃないですか。自分の中のクズみについて考えさせられるよ。

というわけで続きがすっっごく楽しみ!!!どうして電子書籍になっていないんだ~~!!悲しい。
近藤聡乃さんはNY暮らしのエッセイ漫画「ニューヨークで考え中」もおもしろいです。変に海外暮らし!という色味ではなくて、淡々と生活の話。
Webで連載読める。→ ウェブマガジン「あき地」

ニューヨークで考え中

ニューヨークで考え中


去年読んだ恋愛漫画まとめでもこの作品については書いてた。
mogmog.hateblo.jp


以下、わたしとわたしのタイムラインで見かけた感想たちです。










20年ぶりの「ヒトカゲ、君に決めた」

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1996年の夏、わたしは6歳で、小学1年生だった。

宿題やってくる、って親に言い訳しながら、友達の家や近所の公園や児童館にゲームボーイ片手に集まって、ポケモンのレベル上げにいそしんだり、近所の年上のお兄ちゃんにどうしてもここから先にいけないんだよ~って泣きついたり、同じジムリーダーに何回も挑戦したりしてた。チューペットをくわえて濡れた手でAボタンを押す、通路なんだからここで集まらないどきなさい、って怒られる。

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……まさか20年経って同じことをしていると思わなかった。思わなかったよ。
2016年7月22日、ポケモンGOが存在する世界がはじまった。


22日は朝から歌舞伎座で「七月大歌舞伎」を観ていて(市川海老蔵さん、本当に本当に格好よかった)午前中からリリースの喧騒は横目に見ていたけど、歌舞伎座の場内は集まる皆様の年齢層もあって至って静かだった。誰もポケモンゲットしようとしてなかった。今思えばぽっかり隔離されたようでおもしろかった。

終演して、公演の感想もそこそこに、一緒にいた同世代の友人と即インストールした。彼女は北海道で、わたしは神奈川で、まったく違うところで育ってきたけど、あの頃ポケモン151匹全部を空で言えた記憶は共通だった。「最初の子、どうした?ゼニガメにしようかな」「ヒトカゲ、迷わずヒトカゲ」ーーそうです、「ヒトカゲ、きみにきめた!」。20年前といっしょだよ!!


操作方法もよくわからないまま、銀座の街に出て2人で歩く。最初に向かったポケストップは「歌舞伎座楽屋口」だった。「え、ここでポケモンが出てくるわけじゃないんだ」「アイテムだけなんだね」「歌舞伎座、伝説のポケモンいそうなのに…」「楽屋口から出てきたらアツいのに!」

早く東京の街でポケモンに会いたい。そわそわする。「あ!!!コラッタだーー!!!!!」「え、どこ!!!」平日の銀座のどまんなかで昼下がりに騒ぐ女2人。銀座でネズミが出るっていうのが最高にクールだな、と思う。

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東銀座から銀座に歩く。死ぬほどポケストップがある。くるくる回るマークをタップして紫にひっくりかえしていく。ポケモンが出るたびに叫んで立ち止まるので全然進まない。

「ポッポ、AR画面で見ると普通に鳩」「ズバットきた!」「ラッタ怖いんですけど…コラッタちゃんはかわいいのに…」「パラスとかヒトデマンとかこんな都心の水がないところで生きていけるの!?」「ズバットまたきた」「イーブイかわいいいいいい!!!こっち向いて!!!」「キャタピー進化させたくなる」「……いや待って、またズバット?多くない??」

めちゃくちゃ楽しい。歌舞伎座から銀座・有楽町までの道なんて、もう何回も何回も歩いてるのに、ポケモンを捕まえながら歩くだけで景色が一変した。隣の子と一緒にわーわーできるのが本当に楽しかった。コイキングオニスズメ、ニドラン、ナゾノクサコダック、アーボ、トサキント……その熱意を違うものに向けてよ!という親や先生の声を聞き流しながらいつのまにか覚えていた151匹のポケモンの名前、今でもシルエットだけで出てくるくらい染み付いていることに驚いた。高校生の頃に学んだ元素記号も日本史の年号も覚えてなくても、6歳でインプットしたポケモンの名前は口に出てくる。ポケモンGOの爆発を前に「クラスで大流行してるのにせがんでもせがんでも親に買ってもらえなかった記憶を思い出して辛い」という気持ちもわかる。それくらい共通言語で、コミュニケーションだったなあって思う。

あの頃の未来が今だってこと、ゲームの中に繰り広げられていた体験が現実になったこと、すごくない?すごいよ。都会のど真ん中で泣きそうになった。駅前で、公園で、飲み屋で、みんなポケモンの話してる。隣に立ってる人の画面をそっと見て、ほんとにそこらじゅう、みんなやってるなあ、ってため息をつく。ポケモンがいっぱい描かれたハンカチを2枚お道具箱に潜めて、毎日休み時間に取り出して、友達何人かと囲んで自由帳に模写していた日々よ!

ポケモン世代ド真ん中だったこと、一緒に育ってこれたことは本当に幸運だった、と思ったの、今までも何度もあったけど、なんだか妙に誇らしい。愛して信じてきたものは嘘じゃなかった。バブルがはじけてから生まれたわたしたちは、ゆとり世代学力低下、終わらない不況、少子高齢化……って何十もの言葉でさんざんかわいそうがられてきたけど、わたしたちの側にはポケモンがあったんだよ。いいでしょ。楽しかったんだよ。

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わたしや弟が監視の目をかいくぐってポケモンぷよぷよゼルダやスマスマやFFをやりまくってる(遅くまで起きていると怒られるので超早朝にこっそり起きて時間を捻出する)のに眉をひそめて「いい加減にしなさいよ」と小言を言っていた母も、この騒ぎに乗じて、使い始めて数ヶ月のiPhoneポケモンGOをインストールしたらしい。「庭にゼニガメいた」と写真が来る、今何匹?と質問される、「レベル4になった。早くジムに行ってみたい」という報告が来る。なんだか、世界が、ぐるっとまわったと思った。少なくともわたしの世界は。こちら側へようこそ。来てみてくれてありがとう。


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きれいなお姉さんの手の内で泳ぐトサキント

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かわいい女の子とじゃれあうコダック

今夜も、知り合ってからもう人生の半分くらい経つ友人とお酒を飲んだあとに渋谷をきゃあきゃあ言いながらポケモン探しながら歩いた。なんて素晴らしい夏休みの夜!お酒が飲めるようになって、こんな時間にこんなにもうるさくて明るい場所を歩けるようになったけど、いろんな感情の源泉はもしかしたらあんまり変わってないのかもしれないな。

ゲームとしてはすぐに飽きるよ、とかそんなのはどうでもよくて、とにかく、こうやって地続きでポケモンを捕まえられる世界が実現したことそれ自体が幸運で幸福で楽しくて未来だってドキドキする。ハッピーだ。あの頃のわたしに教えてあげたい。いや、やっぱり教えなくていいや。君が白黒の小さな画面の中に見ている景色だって完成されてる。

大人になるって、長く生きるって悪くないなって思った。1度愛したものを、形を表現を変えてまた愛せる可能性があるってことなのか。TLで「まだ1匹しか捕まえてないけど、小学生の頃の『ポケモンやらせてもらえなかったわたし』が成仏した気がする」というツイートを見て、ああ、と思った。その時手が届かなくてももしかしたらいつか。

20年後、どこで何をしてるんだろう。どんな未来が現実になってるのだろう。世界は絶対に毎日進化してるって思うし、わたしはテクノロジーのちからを超超超信じてる。

白魔術の唱え方

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前回のポケモンGOに関するエントリ……というかポエムに、予想の何倍もの反響があって驚いた。

日曜の夕方に突発的に「今夜ひま?」とLINEがきて飲むことになった友人と渋谷のはずれでおいしいものを食べてお酒を飲んでいい気分で帰ってきて、センター街の奥まった暗い所でミニリュウを捕まえて機嫌がよくて、家族のLINEはのどかにポケモンの話が続いていて、アルコールで高揚したふわふわとした気分にまかせて、日付がとうにまわってから一気にしたためたエモい文章だった。読み直すと微妙に恥ずかしいけど、とにかく幸せそうでいいな、よかったね、と翌朝の新しいわたしは思った。

mogmog.hateblo.jp

なんでブログを書いているんだろう、と考えると、どう考えても未来の自分のためだ。ほんの1日でも先の自分はいちばん近しい他人なので、その人に向けている。瞬間の幸福や興奮をスタンプして、いつでも取り出して袋入りのいちごみるくの飴みたいに舐められるようにしたい。元気がない時に読み直すものを、おいしくいただけるものをせっせと増やす。好きなものの話しかしないぞ、なぜならそう決めたので。不幸や怒りや苛立ちに割いているような時間はないのだ。


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最近の幸せそうな写真、ドイツで撮ったねことビール。


前クールにやっていたドラマ「重版出来!」、視聴率的には振るわなかったのかもしれないけど最後までわりと面白く見た。なんだけど、途中の何話かは一時停止したり早送りして気を紛らわすくらいムカついてしまった。インターネットが邪魔者で敵視されていることが本当に悲しかった。世界が作家と出版社(編集部)と書店で完結してて、ネットは本屋からビジネスを奪って、匿名でSNSで作家や作品を傷つけて貶めてる悪者だった。2ちゃんまとめやTwitterを模したようなビジュアルが幾度か出てきた。実体のないどす黒いモンスターとして。終盤で少し救われたけど、それでも自分はインターネットの住民なのでちょっとさみしかった。

……まあでも、そうなるのもわかる。現実世界では黒い感情ってそうそう露わにならないから余計に目立つよね。マイナス感情は「わざわざ言わなかったけど、やっぱりそうだよね」「私もそう思ってた」で他者を巻き込んで増幅しやすいのかもしれない(わざわざ言わなかったけど、って結構大事なブレーキだし「言わない」って1つのちゃんとした選択肢なのだけど)。なんでもいいから常に怒る対象を探している人、批判したりけなしたりすることで世界を一段上から見られている気になってしまう人、そこそこいる。そりゃあね、いますよ。自分の正義や快楽の為にそんなに汚い言葉を使ってしまうの?という人もいる。

でもね、インターネット、それだけじゃないんだよ! ちゃんと幸せになれる場所なの! 深夜にしたためた重たい愛のポエムが、ゲームフリークの増田さんに、ポケモンの中の人に届くんだよ!!!

すごいじゃん。ハッピーでしょ!! わたしはこっちを信じることにする。

何かを否定したりあげつらったり攻撃したりすることでアイデンティティを確立する黒魔術、それはそれで存在していいと思う。きっと何かの形で救われる人はいるのでしょう(いやもちろん、叶うならば違う形で承認されてほしいと思いますが)。

それはそれとして、わたしは闇雲に頑なに徹底的に白魔術を唱えることにした。対抗呪文。Twitterでもブログでもめちゃくちゃ好きなものの話をする。幸せな思い出を掘り返す。楽しいことを探すし、いっぱい教えてもらう。好きなアイドルの好きなところを何度も何度も手を替え品を替え示して、好きな漫画の新刊が出る度に超おもしろかった!って書いて、泣いてしまった小説に言葉を尽くして感謝をつづって、まぁ結局はあとで読み返す自分のためなんだけど、ついでに誰かにちょっとでも届けばいいと思う。なんかよくわからんけど楽しそうでいいな、ってくらいでいい。気を抜くと闇堕ちしそうなインターネットだから、幸せオーラ無駄にビシビシ出していきたい。日々いろいろあるけど、いいことばっかりじゃないけど、吐きそうにしんどいこと降り注ぐようにあるけど、いろいろすっ飛ばして幸福でいる努力。世界は最高!って毎日思って眠りたい。


という気持ちを、スピッツの新しいアルバム「醒めない」を聞いて強めていた。「子グマ!子グマ!」というふざけてる感すらあるタイトルの曲の「幸せになってな ただ幸せになってな あの日の涙がネタになるくらいに」という箇所が何回聞いても好き。そうだった、幸せにならなくては。未来の自分を幸せにするために、今日も明日も幸せに過ごさなくちゃ。「醒めない」、本当に素晴らしいアルバムなのでぜひみなさん聞いてください……草野マサムネと同じ時代に生きている幸せよ。。

闇にも悪意にも負けないインターネット白魔術、もっとうまくなりたい。

醒めない(通常盤)

醒めない(通常盤)


白魔術、という言い方はよく頭に浮かぶし結構気に入っていて、前にも似たようなことを書いていた。

東京都庭園美術館「こどもとファッション」

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東京都庭園美術館の企画展「こどもとファッション 小さい人たちへの眼差し」がすごくよかった。“「こどもらしさ」はこどもが作ったわけじゃない”ってコピー、超いい。子どもに着せていた服にフォーカスすることで、時代ごとに大人が子どもに向けていたまなざし、社会の中でどのような存在だったのかわかるのでは?という命題からしてすっごくいい。

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www.teien-art-museum.ne.jp


18~20世紀のヨーロッパ、明治・大正~昭和にかけての日本の子ども服の変遷から社会の変化や親子関係の変化を読み取ろうという視点で服や資料が並んでいる。庭園美術館さんは公式Twitterでたくさん発信してくれてて親切!ご興味ある方はTwitterをご覧ください、でこのエントリは実はもう用が足りる。コミケ期間中は、創作クラスタの皆様へ、というツイートもしていて、ちゃんと中に人がいる感じが素敵だ。


8月5日(金)は21時までの夜間開館(ありがたすぎる!うれしい!)で、お目当ては19時からのギャラリートークだった。展示内容はもちろんだけどお話もおもしろかったので自分のために簡単なメモ。

  • 担当学芸員さんは子持ちのママ。企画がスタートしたのは、島根・足立美術館学芸員兼ママ友から「こういうのやりたいと思ってる」と打診が来たこと(島根、神戸、東京の巡回展だった)。自分はファッションの専門ではないし、美術館自体も服飾について扱っているわけではないけどこの建物でやる企画として意義があると思ったので進めた
  • 子ども服は大人のものに比べてはるかに後世に残りにくいし、まとめて見られるチャンスが少ない。なぜなら、汚くボロくなることが前提なので捨ててしまうから。きれいなものは周りの誰かにお下がりとして譲る。きれいな状態で残ることはほとんどない(なるほど……)
  • 子ども服より残りにくいのは下着。これもなるほど…だった。そりゃ残しておきたくないよね
  • マリー・アントワネットとかロココ文化の頃は男の子も幼児期もドレスを着ていた。女子との違いはコルセットの有無。女子は2,3歳から小さなレディとしてウエストを締めあげられるけど、男子は5歳くらいで初めてパンツを履くことで“男性”になる。それまではある意味無性の存在
  • 女子ドレスはバックリボンで華やか、男子ドレスはベルト穴のようなものがウェストにある(あくまで展示してあったものの話)。あと見分けるポイントとしては袖口の折り込み方とか。大人の服をベースにアレンジしてる感じでおもしろい
  • ある時期までは子どもは大人のミニチュアでしかなくて、西洋の上流階級ではよだれを垂らしているような乳児でも金刺繍の豪華絢爛なドレスを召していた。すぐ汚くなっちゃいそうだ

  • 子ども服がジャンルとして登場したのはフランス革命
  • より着心地が良くて動きやすい自然体でいられるファッションが子どもから広がっていって、それから女性向けドレスとして古代ギリシャ・ローマ風の胸元からストンと落ちる、肌が透けちゃうような薄くて軽いシュミーズドレスの流行りにつながった(そうやって育った世代が大きくなって少しずつ常識が変わっていったって面もありそう)
  • 動きやすさ、を追求してスカート丈も子ども服が大人のものに先行して少しずつ短くなっていく。引きずるような長さからくるぶしくらいまで。ひっかかると危ないから
  • 19世紀半ばに子どもらしいファッションとしてエプロンドレスが流行る→「かわいいじゃん!」てなって大人でも流行る
  • スカート丈とかシルエットが変化していってもバックスタイルにリボンをつけるのは全体的に変わらないデザインでおもしろかった
  • 20世紀になると一気に「子ども服」っぽくなった気がした。多分ドレスから日常着に近くなる。絵本で見たことがあるようなファッションというか
  • コルセットを付けない文化も子どもから大人に広がっていく(定着したのは第一次世界大戦期くらい)
  • 昔から子ども向けのコスプレ衣装はある。20世紀前半?は軍服が人気。友達の誕生会にトルコやロシアの軍服風のお衣装でおしゃれする(かわいい)。今なら戦隊ヒーローとかプリキュアって感じなのかな

  • 日本ではやっぱり大きな転換は明治、和服から洋服へ
  • 明治初期のイラストを見ると男性はスーツやジャケットやハットの洋装、女性は大人は着物、子どもは洋服が多い。動きやすくてじゃぶじゃぶ洗いやすい素材。着物に小物で洋装をミックスさせてるのもとてもかわいい
  • 雑誌の定番付録の「すごろく」のイラストでファッションやおもちゃの変化が見える(楽しい!)
  • 「子ども」という概念は児童向けの雑誌や童謡の登場で強化された側面がある。大人とは明確に違う存在として扱われてることがわかる。無垢で自由ないきものとして礼賛的な視線が向けられてる。子ども観の変化と家族観(イエ制度ですね)の変化の重なり
  • 「子どもはこうあるべき」が少なからず現れているのが子ども服


展示の内容をまとめたプチ年表ももらえる。
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とてもおもしろかった。展示の命題としては大人の子どもに対するまなざし、なんだけど、ファッションの変化としては逆ベクトルの影響が大きいのが興味深かった。子ども服はコスト的にいろんなものにチャレンジしやすいのかな。小さいころの常識を持って大きくなっていくわけだから、世の中の「普通」の位置が変わっていくのもさもありなんだ。そんな視点で子ども服を考えたことがなかった。

庭園美術館は旧朝香宮邸のアールデコ様式の建物が本当に素晴らしく美しくセンスよく気持ちがいい空間なので、この中にちんまりとした服が並んでいる健やかさだけで、特別ファッションに興味ある人じゃなくても楽しめると思う。図録買えばよかったかな。8月31日までです。

夏を求めて九州へ

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夏が終わっていくことに耐えられなくて九州に5日間行ってきた。あまりに馴染みがない場所で、完全に知らない土地で新しいものをたくさん見た。想像力に乏しい傲慢な人間なので、こうやって少しずつ自分の身でリアルを獲得していくしかない。

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この夏は大学生か?ってくらい遊びまくったけど学生時代よりずっと楽しかった。全然お金がないのに時間だけがあって、未来が不透明な時代はいろんな面で結構しんどかった。今のほうがはるかに健全な精神で生きている。別に特別裕福なわけではないし、めちゃくちゃ浪費家だし、貯金を食いつぶしまくっているけど、それでも自分で稼いだ金を好きなように使えるなんて、なんて贅沢で幸せなことだろうと思う。大人、超楽しいからな。大学生の自分よ、ざまあみやがれ。

熊本・杖立温泉へ

最初の目的地、熊本・杖立温泉には福岡空港から黒川温泉行きの高速バスで向かって途中下車する。超有名な黒川温泉にはいずれ誰かと来そうだから、1人でぶらぶら行くので杖立にしてみた。まだ地震の影響で一部通行止めの区間があって、少し遠くの別のバス停で降りなきゃいけないんだけど、本当だったら2時間くらいで直通で着く。通行止めの道の片側車線は、着いた翌日の夕方に開通していた。


バスの乗り継ぎに失敗してタクシーを使ったんだけどいろいろおしゃべりできて楽しかった。あふれるくまモンのほかに、嵐の写真やステッカーで車内がデコってあってびっくりした。

運転手さんがファンなんですか?って聞いたら、小さい子が喜ぶから、ってにこにこしてた。このあたりのタクシーは近所の子どもを何人かまとめて乗せて習いごとの送り迎えとかに使われることも多くて、喜んでもらうためのことを考えたんだって。「タクシーも殺風景じゃさみしいもんね、差別化していかないとね~」と笑ってた。個人タクシーでもないのに自由だなあ。なんで嵐なのかっていうと、奥さんがファンらしい。

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お昼くらいに杖立に着く。暑い。ド平日の真っ昼間、誰もいない。

特に目的もないのでふらふらと散歩する。大きな川の両岸にレトロな温泉街が広がっていてすごくいい。どこにいても水の音が聞こえる。







温泉の蒸気を使って調理できる「蒸し場」がいくつもあって、地元の人も観光客も勝手に使っていい。野菜と卵といきなりだんごがセットになったセットを買ってやってみた。




楽しい。そういう蒸し物文化なので、いろんな旅館でプリンを作って「杖立プリン」として売り出してる。おいしかった。
杖立温泉について | 杖立温泉


少し食べて涼んだので散歩する。いい意味でたいしてすることもない。ぼーっと川を眺めたり入ったお店でおばあちゃんと話したりする。朝産んだばかりのチャボの卵をくれた。明日の朝卵かけごはんにするんだ。




最近Instagram検索を試していて旅館「米屋別荘」さんのロビーで、プリン味のかき氷が食べられるらしい、と見たので行ってみた。時間ギリギリだけど注文受けてくれた。プリンとラズベリーのハーフ&ハーフにする。

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こ、このボリュームで500円……!すごい!!!超~~おいしかった。宝石を砕くみたいな気持ちで食べた。氷にかけるからどうしても水分で薄まってしまうので、プリンをそのままシロップにしてはだめで、氷屋さんの「師匠」にアドバイスを受けながら何度も試作したらしい。卵でもミルクでもなくちゃんとプリンの味がするかき氷。旅館のなかだから、チェックイン・アウト業務が忙しい時間は提供してなくて、若女将がいる時だけで、出してる時間は12~14時半くらいかな、と言っていた。ちょっと遅めに行ったから、ダメな日に行ったらダメだったはず……ラッキーだった。

「泉屋」さんに泊まる。1人のお客さんて面倒だと思うけどすっごく親切にしてもらってありがたかった。旅程をあんまり決めてなかったので相談したり。鮎の塩焼き、人生で食べた鮎でいちばんおいしかった。

たまたまこの日女性の宿泊客がいなかったらしく、広い浴場もずっと貸し切りで贅沢の極みだった。身体を蒸気で蒸し上げるサウナ「蒸し風呂」がいくつも種類あって楽しい。箱の中で椅子に座って頭だけ出して、首から下をあっためるやつがめちゃくちゃ気持ちよかった。平日最高、夏の温泉最高!!!心ゆくまでお風呂に入って浴衣で夕涼みに川沿いをてくてく歩いて、窓際でぼんやりしたりする。大人になったなあ。

鯉のぼりが川にたくさんはためく5月がハイシーズンなんだけど、今年は地震でそれどころじゃなくて大変だったらしい。その景色もみたいな~。杖立温泉、お湯も景色ももすごくよかったからまた来たい。ぼんやりしに来たい。


麗しの熊本城

朝からまた温泉に入って、阿蘇経由で熊本市内に向かう。レンタカーとかで行けば多分2時間もかからないのですが今回はバスを使うので3時間くらいかかるルート。このエリアは大分との県境にあるので福岡からの方が近い。


始発の杖立から終点の阿蘇まで。お客さんあんただけになるかもしれんわ、と言われて、案の定途中で少し乗り降りがあったあとに山間を走るあいだのかなり長い区間はわたしと運転手さんだけだった。貸し切り。今このへんカルデラの縁のあたりね、あっちの山の茶色いところは地震で地すべりがあってはげた、とかいろいろ説明してくれる。緑も青も濃くてすごくいい。そっか写真撮りたいか、と見晴らしのよいところで一瞬止めて降ろしてくれた。普通の路線バスなのに……優しい。笑 1時間半くらい結構飽きずにしゃべったり写真撮ったり本読んだりしてた。

阿蘇から熊本への経路はバスと電車があるのだけど、肥後大津阿蘇間の電車はまだ止まっている。大変だ。地盤が違うだけで、物理的にはほんの少しだけしか離れていない場所でもずいぶん被害が違ったらしい。なのでまたバス。ちょっと眠る。


熊本にたどり着く。初めて来た。

熊本城、思ったよりずっと崩れていてびっくりした。立ち入り禁止の奥に崩れた石垣が見える。修復に20年かかる、ってそんなに?と思っていたけどこれは大変だ。中には入れなくて外側をぐるりと回って加藤神社の方にいくことはできる。


それでもきれいだった。ものすごく広いお城なんだってことを初めて知った。時間がたまたま合ったので「熊本城おもてなし武将隊」の夕涼みツアーに参加して解説してもらってたんだけど、一本柱を使った建築の内部が見られるのは今だからこそです、必ず元に戻りますからね、と言っててそうだなぁと思った。確かに断面図とかでなく、目の前で見られる。

武将隊の皆さん、軽口叩きながらツアーしてくれるし、写真撮影コーナーもあるし、ミーハー心が満たされた。加藤清正公が祀られている神社の解説を加藤家の家臣たちのみなさんにしていただくのはなんだかシュールでした(設定についてはぐぐってください)。

路面電車大好きだから熊本は楽しかった。あとは水前寺公園で庭園散歩したり(超いいお庭だった)

踊るくまモンとぐんまちゃんに遭遇して大興奮したりした。

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馬刺しを食べてレバ刺しを食べて熊本で熊本県菊池市の日本酒「美少年」を飲むぞっていう夢を叶えて、地酒がたくさん置いてあるバーで焼酎をいただいてくまモンとツーショを撮る。




中心部も地震でかなり揺れて、お酒のボトルも当然割れちゃってしばらく営業ストップした、って話を聞いた。今はずいぶん普通に見えたけど、しばらくは薄暗くてもやもやした不安が街を包んでいたのだろうか。浮かれて1人で何軒もはしごして(やりすぎた)いろんな人としゃべって楽しい夜だった。熊本に旅行に来ると、お金を使いすぎてもお酒を飲み過ぎても、復興支援、と思えることがわかった。重要な気付き!!消費を肯定できる!!いいところだったな~また来たい。

佐賀って何があるの

翌朝、佐賀・唐津に向かう。九州新幹線で博多に行くルートがいちばん簡単でびっくりした。そうなんだ!

というか九州新幹線思ったよりずっと安かった。熊本~博多間、ネットで買えば3600円なんだ……。1週間前までに予約したら2000円ちょっとになる。えー。安い。しかも40分で着く。近いなあ。福岡にコンサートやお芝居で遠征に来た時に熊本まで遊びに来るの全然できるじゃん。新しい知見を得た。

博多で東京から来た友人と合流して、一路唐津へ向かう。なんで唐津かって言うと……

おそ松さん」とのコラボイベントをやってたからです!!せっかくなので来た!笑 商店街のお店にもポスターがたくさん貼られていて、経済効果~~と思った。新聞にも度々取り上げられてる。コラボしたお店の来店者20倍……!
www.saga-s.co.jp





おそ松のイラストに使われてる「唐津くんち」のお祭のお衣装を展示してくれてるの超親切!と思った。かっこいい。

ショップに置かれていたノートを見たら、本当に北は北海道から南は沖縄まで全国のいろんなところから人が来ていてすごかった。あと、夏休みも終盤だからかもだけど、わたしがいた時間はスタンプラリーする中にちびっ子や家族連れも多くてにこにこした。国民的コンテンツ……。周りを見ても小学生の男の子女の子が普通におそ松さん好きなのですごいねえ。


ネットで知り合った友人が長崎から遊びに来てくれて、一緒に車で市内をまわった(初対面なのにお言葉に甘えまくるわたし……ありがとうございます)。呼子のイカを食べたかったのだけど天候不良で食べられなくて悲しかった。

これまで1人でふらふら旅行してるのも楽しかったんだけど、文化財指定されてる美麗な近代建築の邸宅を見学しながら「矢口蘭堂の実家にお呼ばれした志村と安田ごっこ」をしたりするのもめっちゃ楽しかった。燃費がいいので何をしていても楽しい。

夜が更けても分かれずにコンビニでビールを買ってホテルでだらだらだら話せるの最高なので旅行好きだな~。次の日は大雨の福岡に行ったのですが割愛します!!(疲れた)ゴジラ展、超よかったです。


九州、確かに車がないと大変だけど、今回の旅はゆるゆる時間を溶かしたかったのでそういう気分で来る場所としてはすごくよかった。長い夏がついに終わってしまう。2016の夏は自分にしかわかりえないいくつかの理由で結構特別だった。明日からまた生きるぞ。

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